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武将達との恋物語

第10章 Reincarnation 〜織田信長〜



その日の京都の天気は、雲一つない晴天で絶好の洗濯日和なんだと、朝の情報ニュースでは伝えていた。


「來良さん、心の準備はいい?」

メガネ男子でかつイケメンである私のズッ友、佐助君は、無表情だけど優しく私に問いかけた。

「うん。…でも佐助君、本当にこんな晴天でワームホールは現れるの?」

「俺の計算があっていれば、ここに間も無く雨が降り始めて落雷する」

「落雷…」

そんなものに打たれたら死んでしまうんじゃ…と不安がチラリとよぎったけれど、

「大丈夫。落雷と同時に時空が歪み俺たちは飲み込まれるはずだから、死んだりはしない。俺を信じて」

私の不安に気付いた佐助くんは、その不安を取り除くように言ってくれた。


「うん。佐助君の事は信じてる。それにこんな大切な研究に私も誘ってもらえて感謝してる」

私にはどうしても確かめたい事があって、こんな事でびびってる場合ではない。

私達が今いるここは、京都にある本能寺跡地。
私と佐助君は今、その本能寺に間も無く現れるであろうワームホールを待っている。

ワームホールとは、時空のある一点から別の離れた一点へと直結するトンネルのような抜け道で、簡単に言えばタイムスリップをさせてくれる時空空間の事。

そんなものをなぜ私達が待っているのかと言うと、理由は一週間前に遡る。




〜1週間前〜

「ねぇ佐助くん、織田信長を殺したのって本当に明智光秀なのかなぁ」

大学の講義室で次の講義を待つ間、私は隣の席に座る佐助くんに尋ねた。

「さぁ、どうだろう?明智光秀については謎が多くて、今だ出身地すら明確にされていないからね」

私のいつもの突拍子もない質問に慣れている佐助くんは、PCにレポートを打ち込む手を止めず、質問に答えた。


「そうだよねぇ、信長の遺体も本能寺から見つかってないって言うし、分かんないよねぇ。でもさ、ほらっ、忠臣蔵だって実際は雪なんか降ってなかったけど、後で脚色されて雪の日の討ち入りって設定になっちゃったみたいにさ、あの本能寺だってきっと明智光秀じゃなくて、誰か他の犯人がいるのかもしれないじゃない?」



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