第9章 貴方と温まる夜〜大晦日特別編〜
「おっ、お前たちここにいたのか」
安土城の私の部屋で、家康と2人でご飯を食べていると、政宗が呼びに来た。
「政宗さん、何ですか?」
「今から門松を立てるから男手が必要だ。家康お前も来い」
「はあ?何で俺が....」
家康は明らかに面倒くさそうな顔をした。
「つべこべ言わず来い。信長様自ら切り倒された特大の一本松だぞ」
「またあの人は........何やってんだか」
「ねぇ、行こうよ家康。門松って縁起物でしょ?それにみんなで立てるなんて楽しそう」
「サラもそう言ってる。行くぞ」
足取りの重い家康の背中を押しながら、私達は安土城の城門まで行った。
「わぁ!これが門松になるの!?」
安土城の門に置かれた二本の大きな松の木を見て、ついつい大きな声が出た。
「サラも来たのか。どうだ立派だろう?」
松の横で立つ秀吉さんが私に気がついて声をかけてくれる。
「うん。想像してた門松と全然違う。こんな大きな松の木一本使うの?まるでクリスマスツリーみたい」
「くり....何だって?」
「クリスマスツリーって言って、私のいた時代の御祝い事で聖樹とも言うんだけど、大きな木にいろいろな飾りを付けてお祝いをするの。何だかそれに似てるなって...」
「そうか」
「うん。それに私の時代の門松ともこれはちょっと違うかな。こんな大きな松の木を飾るってよりは、竹を三本違う高さで立てて、その周りを松の枝で飾るって感じだったから、ちょっと新鮮かも」
「へぇ、ならちょうど良かった。これから安土一の門松を立てるから、少し離れた所で見てろ」
秀吉さんの合図で、光秀さんや政宗、三成君に結局は家康も混ざって、倒れていた松を起こし、城門の両端に括り付けた。
そして竹などの飾りを付けて、立派な門松は完成した。