第5章 Happily ever after ③何度でも〜家康〜
「くしゅん!」
今朝から何度目かのくしゃみをしながら、サラは体に風邪っぽい怠さと寒さを感じていた。
「昨夜寒かったから、風邪ひいたかな。」
でも、今日は寝込んでいる場合ではない。
信長様の命により近隣諸国の見回りへと行っていた家康が、安土に帰ってくるのだ。
2週間ぶりにやっと会える愛しい人の帰りを待ちわびていたサラは、今朝からそわそわ落ち着かない。
新しく仕立てた着物を身にまとい、髪もハーフアップでまとめてみた。
後は、家康の好物の煮物を仕上げれば完成。
煮物の味見をしてみる。
「あれっ?味がしない。」
家康の好みに合わせてかなり辛くしたはずなのに。
「おかしいな。」
そう言って、サラは煮物に辛味を付け足した。
昼も過ぎ、日も傾き始めはた頃には、サラの体調は朝よりも悪化しており、身体がかなり熱いと自分でも感じるほどだった。
その時、
「サラ?いるの?入るよ」
そう言って、待ちわびた家康が襖を開けて入ってきた。
「家康!お帰りなさい。」
やっと会えた家康の元へ、立ち上がって駆け寄ろうとした時、
「あれっ.........?」
家康やその周りの景色がグニャリと回転するような感覚に襲われ、倒れそうになる。
「.........っ」
家康が慌ててサラを抱き取り覗き込むと、サラはそのまま意識を失っていった。
「サラっ!.......っ熱っ!」
サラのおでこに触れるとかなり熱い。
「っ何やってんだよ。」
家康はサラを抱き抱えて褥へと寝かしつけた。
サラはその日から3日間、原因不明の高熱に襲われた。