第4章 Happily ever after②ある日の夢〜家康〜
「いっ家康⁈どうしてっ」
ビックリし過ぎてついつい大きな声を出してしまい、
皆の視線が一斉に私に集まった。
家康もじろりと私を一瞬睨んだが、
ふいっと、すぐに視線を元に戻し、
渡された書類に目を通す。
その優雅な仕草に、オフィス中の女子が釘付けになる。
「はぁー。ホント社長って素敵。」
「傾きかけたこの会社を親から引き継いで、
立て直した敏腕社長。しかもイケメン。」
「あのクールさも素敵よね。」
女子社員たちがざわめく。
そうだよね。
戦国時代の頃は出会ってすぐに
家康の御殿にお世話になることになったから、
当たり前のように近くにいたけど、
本来はとても遠い存在の人なんだ。
それは、社長であろうと、戦国武将であろうと同じだ。
だって、私は本当に普通の女の子なんだから。
改めて気づかされる事実を目の当たりにしてへこんでいると、
家康はお付きの人達とオフィス巡回を終え、行ってしまった。