第1章 あなたと両思い 〜徳川家康〜
私は、家康が好き。
この気持ちに気付いたのはいつからなんだろう。
『弱そうな女』
『あんたなんていらない』
家康から私に向けられる言葉はいつも厳しくて。
でも、彼の中にある優しさや孤独な部分に触れていくうちに、
もう自分ではどうしようもないくらいに好きが溢れていった。
「好きって、伝えようかな.......。でも........。」
自分の部屋で着物を縫いながらポツリと呟く。
「でもどうやって?」
普段の家康の態度から、私に好意を持ってくれているとは思えないし。
「はぁー」
大きなため息をついた時、
「サラちょっといいか?」
秀吉さんが私を呼ぶ声が聞こえる。
「あっ、はい、どうぞ。」
すーっと、襖を開けて秀吉さんが入ってくる。
「おっ、仕事中だったか。まぁ余り無理はするなよ。」
優しく微笑みながら、秀吉さんが私の頭を撫でる。
「大丈夫です。本当に秀吉さんは心配症なんだから。」
(家康にもこんな風になでてもらいないたなぁ。)
なんて、考えていると、
「実は、お前にちょっと頼みたいことがあるんだ。」