第2章 口づけの先 〜伊達政宗〜
今宵、安土城では武将達が集まり、
宴会を開いていた。
その中で、
伊達家第十七代当主 伊達政宗は、悶々としていた。
「何だ政宗、浮かない顔して。」
秀吉が近づいてきて、政宗の横に腰を下ろした。
「今日は、サラは来てないのか?」
手酌で酒を杯に注ぎながら秀吉が尋ねる。
「あぁ。あいつは今夜は〈じょしかい〉ってのをやってる。」
「〈じょしかい?〉何だそれは。」
「何でも、女たちだけで集まってご飯を食べたり
話をする会の事らしい。」
不貞腐れたように政宗が言う。
「何だお前、女たちにも妬いてんのか?」
「そんなんじゃねぇ。」
「じゃあ何だってそんな浮かない顔してんだ。
お前を追いかけ戦にまで来るほどサラに愛されてて
不満なことなんてないだろ。」
秀吉が冗談交じりに、政宗の背中を叩きながら言う。
「.............だよ。」
ボソッと政宗が呟く。
「ん?なんだ?」
しっかりと聞き取れなくて秀吉がもう一度聞き直す。
「やらせてくれねーんだよ!」
「はっ?.......何を?」
「だから、サラのやつ、
抱かせてくれねーっつってんだよ!」