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ロミオとジュリエットは何故不幸になったのか【エルヴィン】

第10章 香水






「これは私からエルヴィンさんへのお礼です。
使って頂けると良いのですが・・・」


ラウリィの遺品を探してくれたお礼が、
香水を選ぶだけで良いのだろうかと
この二週間考え続けてきた。

エルヴィンさんが選んだ香水を自分が支払いを
持つというのも手だったかもしれないが、
何となく彼にそれは断られるような気がしていたので
何か別の物を『オマケ』のように渡そうという
考えに至った。


「この整髪料はエルヴィンさんに選んだ香水と
相性が良くて、普段遣いも出来ると思いますよ」

「ありがとう。嬉しいがこの整髪料は高い物だろう?
兵士の義務である遺品を届けただけで、
このような高価な物を貰う訳には・・・」


エルヴィンさんにひと目で見抜かれたこの整髪料は、
確かに高価な部類に入ってしまうかもしれない。

この整髪料は白地に青い模様の入った柄の容器に
入っており、それがとてもお洒落だと人気があった。


「これは貴族の間でも人気なんですよ。
話のネタにお試しという事で如何ですか?」

「だが・・・」

「義務であろうと無かろうと遺品を届けてくれた方に
感謝を伝えたいという気持ちを汲んでは頂けませんか?」


猶も渋ったエルヴィンさんに私が直球の気持ちを
ぶつけると、彼は小さく笑いながら
「確かにこれ以上君の気持ちを考えず
受け取らなければ無粋だな。ありがとう。
有り難く頂くよ」
と漸く受け取ってくれた。

私も受け取って貰えた事に安堵していたのだが、
エルヴィンさんが容器をジィっと見つめているので、
気に入らなかったのかと焦る。



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