ロミオとジュリエットは何故不幸になったのか【エルヴィン】
第10章 香水
―――そして約二週間後、エルヴィンさんは約束通りお店に
来てくれた。
私はいそいそと香水コーナーへ案内し、
エルヴィンさんに選んだ香水のサンプルを嗅いでもらう。
その時、ふと気付いた。
「・・・もしかして今日は香水をつけてきてないですか?」
「あぁ、折角新しい香水にするから今日はつけてこなかったんだ。
その・・・私の体臭は臭いかな?」
気まずそうにするエルヴィンさんに慌てて否定する。
「そんな事ないです!何もつけてない方が選びやすいので
助かりました!これで一気に候補が絞れます」
エルヴィンさんの素の体臭は成人男性の平均より
強めかもしれないが、不快に思うような匂いではない。
むしろ、何かフェロモン・・・?みたいなものが
出ているような気がして匂いを嗅いでいるとドキドキしてしまう。
私は赤くなりながらエルヴィンさんに一番似合いそうな
香水のサンプルを手渡した。
「その・・・エルヴィンさんの好みとは違ってしまうかも
しれないんですが、エルヴィンさんはとても男性的で
大人なイメージなのでこれをお薦めします」
「ほう?」
エルヴィンさんは感心したように頷きながら
サンプルの匂いを嗅ぐ。
その仕草を見ながらその香水を選んだ理由を述べた。