ロミオとジュリエットは何故不幸になったのか【エルヴィン】
第9章 お礼
漸く泣き止んだのは三時を回った頃で、
エルヴィンさんへの申し訳無さがこみ上げる。
「エルヴィンさん、わざわざラウリィの遺品を探して
下さったんですね。本当にありがとうございます」
「遺品を遺族に返すのは調査兵として当たり前の事を
しただけだから気にしなくて良い」
ラウリィの遺族と言ってもらえた事にまた泣きそうになったが
グッと堪え「エルヴィンさんは本当に私の恩人です」と
笑顔を作った。
私を人形から人間に戻したのも、諦めていたラウリィの遺品が
手元に来た事もエルヴィンさんが居なければ成し得なかった事だ。
感謝してもしきれない
何かお礼を出来れば良いんだけれど、エルヴィンさんは
一体何を喜んでくれるだろうか?
「あの・・・何かお礼をしたいのですが、私に出来る事とか
プレゼント出来るものはありますか?」
「・・・気持ちだけ受け取っておくよ」
「ですが・・・」
私の申し出を断るエルヴィンさんに食い下がると
彼は困ったような表情をして「じゃあ・・・」と提案する。
「またこうして会って色々な話を聞かせて貰えないか?
私は立場上、こうして話せる人が居ないんだ」
「はいっ!私で宜しければ是非っ!」