ロミオとジュリエットは何故不幸になったのか【エルヴィン】
第15章 原因と告白
「あ、あの!エルヴィンさん!」
「ん?やはり何か思うところが・・・?」
エルヴィンさんが不安そうな顔で私を見ていたが、
私はお構いなしで自分の気持ちをぶつけた。
「私はエルヴィンさんが好きなので、
恨んだり嫌いになんかならないです!!」
思わず威勢よくカミングアウトしてしまったが、
すぐに数秒前告白しようと決めた自分を
ぶん殴りたくなった。
何故なら彼が目を丸くして呆然とした後、
「今の言葉は無かった事にして貰えないだろうか?」と
言ってきたからだ。
――玉砕・・・
玉砕覚悟だったとはいえ、キツイ。
ダメだとは思っていたけれど、
『無かった事にして欲しい』という言葉に激しく
傷ついてしまった。
エルヴィンさんとしては今回の件、
私ごと無かった事にしたかったのだろう。
それなのに夢見て告白して玉砕だなんて・・・
馬鹿みたいだ。
でも、エルヴィンさんを困らせる訳にはいかないから、
出来る限りの笑顔を作って「勘違いしてごめんなさい。
エルヴィンさんにはもう近づきませんからご安心下さい」と
告げると彼は慌てた様子で「違うんだ!」と
叫ぶように言った。
「い、今私が言ったのはそういう意味ではなくて!
君の気持ちが聞けて凄く嬉しかったんだが、
私より先に告白をされてしまって男として
自分の情けなさに自己嫌悪してしまっていたというか・・・
君に告白するなら、ここではなくきちんとした場所で
したかったというか・・・兎に角、すまない。
今私の思考がグチャグチャしていて何を言っているのか
わからなくなってしまっているが、
これだけは言わせて欲しい。、
私も君を愛している!」
「・・・へ・・・?」
幻聴だろうか?
そんな都合の良い展開があるはずない。
今のエルヴィンさんからの言葉はきっと現実逃避の末、
作り上げてしまった自分の妄想なのではないだろうか?
何もリアクション出来ずに立ち尽くしていると、
何故かエルヴィンさんが更に慌てたようで顔色が
赤から青色になった。