ロミオとジュリエットは何故不幸になったのか【エルヴィン】
第15章 原因と告白
――つまり、私はエルヴィンさんの中で
自殺していた事になっていたと。
メガネの調査兵・・・自己紹介でハンジさんという方らしい
補足によると、あの屋敷に憲兵団が踏み込んだ日、
エルヴィンさんは諸々の手続きにより到着が
遅れてしまったらしい。
そんな事もあろうかと憲兵団にいる友人に私の保護を
依頼していたのに、遺書を残していなくなっていて
八方手を尽くして探してくれていたらしい。
勿論ダリウスさんにも会いに行ったらしいが、
彼は『は近くにいるようで遥か遠い所へ旅立った』と
教えてもらえただけで追い払われてしまったそうだ。
エルヴィンさんはその言葉を『天国へ旅立った』と
解釈したらしいが、実際は『はシーナからは
遠いが、エルヴィンさんが常駐している調査兵団本部が
あるウォール・ローゼに行った』だけだったという・・・。
確かにダリウスさんはエルヴィンさんをそんなに
好いていなかったかもしれないが、何故そんな
意地悪な言い方をしたのだろうか・・・。
あとひとつ、気になる点がある。
「私はダリウスさんに『エルヴィンさんが来たら
ローゼにいると伝えて下さい』とお願いしたんです。
それで一ヶ月後くらいに『手紙での場所を教えたよ』
という連絡が来たのですが・・・
ダリウスさんからのお手紙は届きませんでしたか?」
「・・・・・・・・」
エルヴィンさんは呆然とした顔で私の顔を見た後、
難しい顔をして何やら考え込み始めた。
「・・・その・・・ダリウス氏は、手紙の封筒に
ご自分の名前を記入していたのだろうか?」
「さぁ?すみません、そこまでは言っていません
でしたので、ごめんなさい」
私が謝罪すると、エルヴィンさんは蹲って低い声で
「・・・たぬ・・オヤジめ」と何か呟いた。