第1章 プロローグ ーとある本丸にてー
「じ、じゃあ、朝ごはんにしようか」
「ごはん…!」
不思議そうな顔をしていた主が一気に輝く。歌仙はクスッと笑みをこぼし、優しく主の頭を撫でる。
「主もお腹すいただろう? 今日は塩鮭と、ほうれん草のおひたしと、油揚げとネギのお味噌汁だよ。じゃあ、行こうか」
コクコクと笑顔で頷いた主は待ち切れないのか、歌仙の手を取ると早く早くとでも言うように、引っ張る。
「ごはんっ、ごはんっ🎶」
親元から引き離され、責務に追われるこの少女が心安らかでいられるように、絶えず笑顔でいられるように、その心を護ろうと手を引かれながら、歌仙は改めて思うのだった。