第4章 原作編《体育祭》
紫沫SIDE
「どんなもんかと見に来たが、ずいぶん偉そうだなぁ。ヒーロー科に在籍する奴は皆こんななのかい?」
「ああ!?」
姿は見えないけど、何だか聞き覚えがあるような声がした。
「こういうの見ちゃうとちょっと幻滅するなぁ。普通科とか他の科ってヒーロー科落ちたから入ったって奴けっこういるんだ。知ってた?」
「?」
「体育祭のリザルトによっちゃ、ヒーロー科編入も検討してくれるんだって。その逆もまた然りらしいよ…敵情視察?少なくとも普通科(おれ)は調子のってっと足元ゴッソリ掬っちゃうぞっつー宣戦布告しに来たつもり」
爆豪君に負けず劣らず挑発的な言葉は好ましくないけど、どうしてもその声が気になって姿を確認すると、お昼に見たにゃんこのヒーロー君がそこにいたのだった。
お昼とはなんだか雰囲気が違う気がしたものの、あの目の下のクマは間違いない。
「隣のB組のモンだけどよぅ!!敵と戦ったっつうから話聞こうと思ってたんだがよぅ!!エラく調子づいちゃってんな、オイ!!!本番で恥ずかしい事んなっぞ!!」
「…」
「待てコラ。どうしてくれんだ。おめーのせいでヘイト集まりまくっちまってんじゃねえか!!」
「関係ねえよ…」
「はあーー!?」
「上に上がりゃ関係ねえ」
そう言い残して爆豪君は廊下の人だかりを掻き分けて教室を出て行き。
にゃんこのヒーロー君もその場から離れていくのが見えた。
お昼の時に見た印象と違ったからなのか、何故だか気になってしまい、何とか教室から出るとその後を追いかけて。
すぐに後ろ姿を見つけて声をかけようとしたけど、名前を知らない事に気付いて咄嗟に私はこう叫んでいた。
「にゃんこのヒーロー君!」
その言葉に周りの生徒も少なからず反応して少し恥ずかしかったけど、目的の彼もこちらを向いてくれたので、この際気にしないことにして。
立ち止まってくれたので駆け寄ると、少し驚いてるような顔してたけど、すぐにそれは消えた。
「あんた…昼の…」
「あ、えと、ちょっとここは何だから、移動しながら話さない?」
やはり周りの目が気になってしまい、取り敢えずその場から離れることにした。
「あ、まだ自己紹介してなかったよね。1-Aの雪水紫沫です。君は?」
「あんたヒーロー科だったのか…1-Cの心操人使」
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