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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第4章 原作編《体育祭》


紫沫SIDE


食堂に着くと既に人がいっぱいで、空いてる席がなかなか見つからずにウロウロしていた時だった。
それはもう無意識と言っていい程に私の目は紅白頭を捉えてしまう。
こちらに背を向けているので気付かれることはないけれど、不意に見つけたことも相まって、その瞬間に心臓が跳ねるのを感じた。
そして、その背中の後ろの席が空いている。

(後ろだからバレないかな…)

ついさっき轟君のことを考えしまったからだろうか、無性に近くに行きたくなって、気付かれないようにその席へと向かった。
緊張で鼓動が早くなるのを感じながらもなるべく物音を立てないようにして辿り着き、そっと椅子を引いてそこに座る。
姿は見えないけど、背中越しにでもこんなに近くにいる事で、まるで一緒にご飯を食べている気分だ。
そう言えば、轟君と一緒にお昼ご飯を食べたことがないことに気付いた。
もう同じ学校に通うのは四年目になるのに、学校にいる轟君とはあまり一緒にいた記憶がない。

(傍にいられた時間なんてほんの少しだった…こんなにすぐ近くにいるのに離れている時間ばかりが増えていくなぁ…)

そんな事を考えながら、お昼を済ませた頃にはもう後ろには誰もいなくて、なんだか少し寂しくなって。
空になった容器を返却口に戻し教室へと向かった。
教室に着くと既に轟君は席に座っていて、なんだかさっきの行動が気づかれているんじゃないかと1人で勝手に緊張して。
足早に席に着けば午後からの授業のことに意識を飛ばすことにしたのだった。










ーーー放課後。
帰り支度をしているとなんだか廊下が騒ついていることに気付いた。
視線を送ると廊下を埋め尽くさんばかりの生徒達がいて、全員の注目はクラスの中へと注がれている様で。

「うおおお…なにごとだあ!!!?」
「出れねーじゃん!何しに来たんだよ」
「敵情視察だろ、ザコ。敵の襲撃を耐え抜いた連中だもんな。体育祭(たたかい)の前に見ときてえんだろ。意味ねェからどけ。モブ共」
「知らない人の事とりあえずモブって言うのやめなよ!!」

本当に全員がそのつもりでこれだけの人が集まっているのかは私には少し信じがたかったけれど。
教室の中にいた爆豪君が廊下にいる人を挑発しているのは明白だった。


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