第4章 原作編《体育祭》
紫沫SIDE
「2人は同じ中学だったのね」
「あ、うん。私中学でも倒れちゃった事があったから、それで知ってたんだと思う」
言い終わると同時にチャイムが鳴ったことで、皆それぞれの席に座りその場はお開きとなった。
「皆ー!!朝のHRが始まる席につけー!!」
「ついてるよ。ついてねーのおめーだけだ」
飯田君だけは席に座っていなくて、何故か教壇に立っている。
すぐに教室の扉が開くと入ってきたその人は…
「お早う」
「相澤先生復帰早えええ!!!」
至る所を包帯でぐるぐる巻きにされている我らが担任だ。
「先生無事だったのですね!!」
そう言った飯田君は流石クラス一の俊足の持ち主と言える速さでしっかりと席に座っている。
一応リカバリーガールに相澤先生のことを軽く聞いていたけど、実際にその姿を目の当たりにするとどう見ても重傷で、やっぱり私はあの場で無力だったのだと少し気分が落ち込んだ。
「俺の安否はどうでも良い。何よりまだ戦いは終わってねぇ」
「戦い?」
「まさか…」
「まだ敵がー!!?」
「雄英体育祭が迫ってる!」
「「「クソ学校っぽいの来たあああ!!」」」
雄英の体育祭といえばとてもビッグなイベントで。
私でもそれは知っているし、毎年テレビ中継を見ていた。
「待って待って!敵に侵入されたばっかなのに大丈夫なんですか!?」
「逆に開催することで雄英の危機管理体制が盤石だと示す…って考えらしい。警備は例年の五倍に強化するそうだ。何より雄英(ウチ)の体育祭は…最大のチャンス。敵ごときで中止していい催しじゃねぇ」
(最大のチャンスって何のことだろう…?)
「ウチの体育祭は日本のビッグイベントの一つ!!かつてはオリンピックがスポーツの祭典と呼ばれ全国が熱狂した。今は知っての通り規模も人口も縮小し形骸化した…そして日本に於いて今「かつてのオリンピック」に代わるのが雄英体育祭だ!!」
「当然、全国のトップヒーローも観ますのよ。スカウト目的でね!」
八百万さんの言葉で納得した。
そうか、ヒーローを目指す皆からしたらそれはチャンスだ。
「当然名のあるヒーロー事務所に入った方が経験値も話題性も高くなる。時間は有限。プロに見込まれればその場で将来が拓けるわけだ。年に一回…計三回だけのチャンス。ヒーロー志すなら絶対に外せないイベントだ!」
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