第3章 原作編《入学〜USJ》
紫沫SIDE
しばらく走っていると広場が見えてきて、親玉らしき人達の姿を目が捉える。
既に轟君は到着していて、他にもオールマイトや爆豪君、切島君、緑谷君がその場にいて。
そのもう少し先に、相澤先生らしき人を抱えてる梅雨ちゃん達の姿を見つけた。
(まさか、相澤先生気を失っている…?)
親玉よりもそちらが気になり梅雨ちゃん達の元へと駆け寄っていく。
「梅雨ちゃん!!峰田君!!」
「紫沫ちゃん!無事だったのね。良かったわ」
「おー!雪水ー!!」
「うん、梅雨ちゃんと、峰田君も!それより、どうか…っ」
どうかしたなんてものじゃなかった。
抱えられているという事は自力では歩行が困難であると、つまり気を失っているのだ。
プロヒーローである相澤先生がそんな事態に陥るなんて、それだけの深手を負っているに決まっている。
「あの、脳みそ敵にやられてしまったの…」
「そんな…」
出血が凄いし、きっと両腕も折れてる、一部の肌は何故か崩れ落ちてボロボロに。
ここまで酷い状態では私の"治癒"では治す事ができない。
どうする事も出来ない事実に視界が狭まっていく。
「梅雨ちゃん!手助けに来たよ!」
「お前ら、変わるぜ!」
「お茶子ちゃんに、砂藤ちゃん。お願いするわ…紫沫ちゃん?行きましょう?」
梅雨ちゃんに声を掛けられ、改めて相澤先生の姿が視界の中に映った。
いつの間にか来ていた人達に抱えられてゲート前まで運ばれていく。
(私の"治癒"で治せないのはわかってる…それでも…っ)
見て見ぬ振りは出来なかった。
あの日、私はただ立ち尽くすばかりか"個性"を暴走させてしまい両親を助けられなかった。
でも、今は違う。足は動いてる。"治癒"だって使える。
決断した足は躊躇うことなく、砂藤君に背負われている相澤先生の元へ駆け出していた。
「砂藤君!相澤先生をそこに寝かせて!」
「え?雪水さん?」
「今の私には完治させる事は出来ないけど…相澤先生を"治癒"します!!」
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