第3章 原作編《入学〜USJ》
紫沫SIDE
「すっげーー!!USJかよ!!?」
訓練場の中は物凄く広くて、まるでアトラクションエリアのようなものが広がっていた。
「水難事故、土砂災害、火事…etc.あらゆる事故や災害を想定して僕がつくった演習場です。その名も…U(ウソの)S(災害や)J(事故ルーム)」
「スペースヒーロー「13号」だ!災害救助でめざましい活躍をしている紳士的なヒーロー!」
「わー私の好きな13号!」
そう言えば、もう一人先生がいるって言ってたのはこの先生だったのか。
全体的なフォルムが丸くてつい可愛いと口にしたくなる先生だ。
「えー始める前にお小言を一つ二つ…三つ…四つ…」
(増える…)
「皆さんご存知のだとは思いますが僕の"個性"は"ブラックホール"。どんなものでも吸い込んでチリにしてしまいます」
「その"個性"でどんな災害からも人を救い上げるんですよね」
「しかし簡単に人を殺せる力です。皆の中にもそういう"個性"がいるでしょう。超人社会は"個性"の使用を資格制にし厳しく規制することで一見成り立っているように見えます。しかし一歩間違えれば容易に人を殺せる"いきすぎた個性"を個々が持っていることを忘れないで下さい。相澤さんの体力テストで自身の力が秘めている可能性を知り、オールマイトの対人戦闘で、それを人に向ける危うさを体験したかと思います。この授業では…心機一転!人命の為の"個性"をどう活用するかを学んでいきましょう。君たちの力は人を傷つける為にあるのではない。救ける為にあるのだと心得て帰って下さいな。以上!ご静聴ありごとうございました」
「ステキー!」
「ブラボー!!ブラボー!!」
とても長いお小言だったけど、どれも為になる事ばかりで、気付けば私はその言葉に聞き入っていた。
そして、ようやく訓練が始まるかと思ったその時。
「そんじゃあ、まずは…一かたまりになって動くな」
「え?」
「13号!!生徒を守れ」
普段あまり覇気のない相澤先生がいきなり叫んだことに驚いていると、その視線の先に少なくない数の人の姿が見えた。
「何だアリャ!?また入試ん時みたいなもう始まってんぞパターン?」
「動くなあれは敵だ!!!!」
突如として現れた集団の正体に、背筋が凍る思いがして、足がすくんで動けない。
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