第3章 原作編《入学〜USJ》
紫沫SIDE
その日の放課後、私は相澤先生に呼び出されていた。
理由は、"個性"の制御の練習をする為。
「使わない事にはいつまで経っても制御の仕方も止め方も覚えられないからな。取り敢えず、発動してみろ」
「え?!いきなりですか!?」
「危ないと思ったら俺の判断で止めてやる。早く」
「わ、わかりました…」
少し相澤先生から距離を取り、"個性"を発動させる。
何故か前に比べて発動した瞬間から威力が高かった。
「…っ、弱まれ……っ」
わかりきってはいたけど、中々制御が効かない。
中々というより、全くというべきかもしれない。
今までどうやって"個性"を使っていたのかわからなくなってしまいそうな程に。
そんな調子のまま、少しするといきなり"個性"が止まった。
「…すみません」
「いきなり出来るようになるとは思っていない。"個性"は解除した。もう一度やるぞ」
「はい!」
それから何度か同じ事を繰り返していく内に私の体力が尽きたので、これ以上続けるのはやめようという事になって。
練習1日目は何の成果も得られずに終わってしまった。
「はぁ…はぁ……全然、ダメでした…」
「そんなにすぐ制御出来るようになるなら、わざわざ練習をなんて必要ないだろう。今日やった事を無駄にしないように感覚を自分の中で確かめて置くように」
「…はい」
そして、私は帰り支度を済ませ、睡さんと共に帰路へと着いた。
「紫沫ちゃん、こういうのは根気よくやっていくのが大事なのよ!」
「はい…」
「さぁ、元気を出しなさい!今日の晩ご飯は紫沫ちゃんの好きなものを食べましょう!」
「あ、なら、蕎麦が食べたいです!」
「あら、なんだか渋いわね?」
「そうですか?」
実は、轟君の好物を知った時から目に入るとそれを選んでしまう癖がついてしまっていて、気がつくと私も好きになっていたのだ。
元々うどんよりは蕎麦の方が好きではあったのだけれど。
「じゃぁ、イチオシのお店があるから、そこに行きましょう!」
「はい!」
こうして、美味しい蕎麦を堪能した私は明日からも練習を頑張ろうと心の中でそっと誓ったのだった。
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