第3章 原作編《入学〜USJ》
紫沫SIDE
雄英高校ヒーロー科、登校初日。
睡さんと共に職員室まで来ると、イレイザーヘッドに連れられ教室へ向かうことに。
因みに本名は相澤消太で、ここでは相澤先生と呼ぶよう言われた。
私がお世話になるのは1-Aだそうだ。
昨日は入学式の筈が何でも個性把握テストをしたらしい。
その場にいても何も出来なかっただろうから、今日から登校で良かったなんて。
なんの躊躇いもなく教室の扉を開けた相澤先生に少し戸惑いながら、その後に続いた。
「お早う。今日からクラスに1人増えるぞ。雪水紫沫だ」
教卓の横に立ち、恐る恐る顔を上げると。
「うぉおおお!女子だあ!!」
「しかも、結構可愛いくね?」
「雪水さんて言うんやぁ、何で1日遅れなんやろ?」
「女の子が増えるの嬉しいー!」
「是非お友達になりたいわ」
クラス中の視線が集まってなんともいたたまれない状況にどうしたものかと視線を落としていると、相澤先生の"個性"が発動した瞬間にクラス中が静かになった。
「コイツは少し事情があってな。"個性"の制御が出来ない上に周りに被害が及ぶ。当分の間、実技の授業は見学の予定だ。だからと言って余計な特別扱いをするつもりはない」
そして、こちらを向いて相澤先生は私に向けてこう言った。
「これからお前には全力で試練を与え続ける。"Plus Ultra"の精神で乗り越えて来い」
「…はい」
きっと皆はヒーローになる為に全力で立ち向かっていくのだろう。
事情があるとは言えこんな形で入学した事に少し申し訳ない気持ちを感じていると、一番後ろの空いてる席に着く様言われて。
そちらに視線を向けた私は、紅白の髪色をした人を見つけて心臓がドキリと鳴るのを感じた。
(…やっぱり…いた…)
入学しているのはほぼ確定していたし、クラスだって2つしかないと聞いたから、確率は2分の1。
ある程度予想はしていたけど、本人を目の前にすると緊張がより一層増した。
(少し…大人っぽくなってる気がする…)
すぐに歩き出す事が出来ずにいる私に相澤先生からの声が改めてかかり、何とか足を踏み出した。
予定外の生徒だったからか席は壁側の一番後ろで1つだけ飛び出していたけど、そんなこと気にならない位の緊張が襲う。
だってその席に着くには、彼の隣を通り過ぎなければいけないのだから。
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