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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第2章 中学生編


紫沫SIDE


一生分の運を使い果たしたのではないかという偶然が重なり彼との物理的距離は縮まったものの。
それは決して良いことというわけではなかった。
席が隣だからと何かあるわけでもなく、以前と変わらず一方的に想いを寄せている状態が続いていて。
いや、むしろ以前より状態は悪化しているかもしれない。
今までは離れていたからこそ何も気にすることなく視界に入れることができていたのに。
こんなにも距離が近いと見つめる事など到底できるはずもなく、最早視界に入れることすらできなくなっていた。
そんなどうしようもない日々が続いてる中で、今は2年生になって初めての"個性"の授業の真っ最中。

「なかなか思うような香りがしないんだよねぇ〜」
「私もうまく調整が出来なくて、どうやったら体温低下を抑えられるんだろう…」

因みに、華純の"個性"は皮膚から花の香りを漂わせ、香りの違いで主にヒーリング効果をもたらしてくれると言うもの。
2人で自主練をしつつお喋りをしていると、少し離れたところで彼が氷結を出している姿が目に入った。

(あっ、こんな近くで"個性"見るのはあの時ぶりだ)

1年の頃はクラスが違った為遠くからしか彼の"個性"を見る機会がなかったけれど、同じクラスになったからこそこんなに近くで見ることが出来たのだと。
漸く使い果たしであろう運の恩恵を実感した。

(やっぱり綺麗だなぁ…私もあんな風に"個性"を使えたらいいのに…)

最近見ることすら叶わなかった反動からなのか。
暫くの間その姿を見つめていると、ふと身体に違和感を覚えた様な気がしたその時。

「紫沫!これ以上は使っちゃダメ!」
「…え?」

幼馴染に声をかけられ気付いた時には既にキャパオーバーの前兆が現れていて。
無意識のうちに"個性"を使い過ぎてしまっていたらしく急激に体温が低下していく感覚に襲われる。

(あ、久々にやらかしてしまった…これは病院行きかな…)

キャパオーバーを起こし仮死状態になってしまうと救急搬送され、目を覚ますのはいつも病院のベッドの上。
薄れゆく意識でそんな考えが脳裏をよぎる中、最後に見たのはあの綺麗な氷結を出している紅白頭の彼だった。




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