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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第2章 中学生編


紫沫SIDE


図らずも彼のハイスペックを知ってしまったあの日から時間だけが過ぎ、気が付けば2年生の始業式を迎えていた。
相変わらず私の目は彼のことを無意識に追いかけてしまっているのだけれど、だからと言って何があるわけでもなく。
あるとすれば日に日に増していく行き場のないこの気持ちだけ。

「紫沫〜!よかった!今年も同じクラスだね!!」

こちらも相変わらず、事あるごとに彼のことを教えてくれるお節介もとい優しい幼馴染とは今年も同じクラス。

「うん、今年も一年よろしく!」

そんな他愛もない会話をしながら。
ふと彼は一体どのクラスなのだろうと気になり、クラス表に目を向けていると一方的に見慣れてしまった紅白頭がいきなり至近距離で視界に入りこんできた。
咄嗟に幼馴染の手を取り脱兎の如くその場を立ち去り、新しい教室前方の扉へと駆け込んだ。

「っはぁ、はぁ、ちょっと!いきなり何事!?」
「ごめんっ、…っはぁ、いきなり目の前にっはぁ、現れたから、びっくりして…っ!!!」

息つく間もなく、後方の扉から教室に入ってきている彼の姿が見えて。
早鐘を打っていた鼓動が別の理由でひときわ大きく飛び跳ねたのがわかった。

「今年は紅白頭君とも同じクラスだね!」

そう耳打ちしてくる幼馴染の声により一層心臓は跳ね上がり。
兎に角落ち着かなくてはと深呼吸するけど、おさまりそうにない鼓動は見て見ぬ振りをする事にした。
今一度視線を上げるとやはり彼は同じ教室にいて。
既に一番後ろの列の席に座り、今まで何度も目にした無表情で窓から外を眺めている。
いつもの癖で見つめてしまいそうになるのを寸でのところで我に返ると、幼馴染と共に前の黒板に貼られた席次表に目を移した。

(えっ…これって…)

五十音順で席が決まっている事は承知の上で、自分の苗字が最後になる可能性が高い事も今までの経験上わかりきっていたことだったのに、一連のことですっかり頭から抜けていて。
このクラスでも私の席順は一番最後。
そして、その隣は先程から私の鼓動を鳴らしている原因である彼。

(轟…焦凍……)

幸か不幸か、ここに来て彼との距離が物理的に縮まったのだ。
中学2年の始まり、これが吉と出るか凶と出るか…その時の私はただその事実を受け止めるだけで精一杯だった。


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