第2章 中学生編
紫沫SIDE
「はっきりとは見えなかったんですけど、見た事ない結晶だったと思います。お母さんの"個性"であることは間違いないかと…多分何かしらの契約の結晶だと思います」
「契約…?」
「はい、詳しくは知らないんですけど、お母さんは二つ"個性"を持っていて、"結晶"と"契約"でした。何かしらの"契約"をした時にその証として"結晶"ができるんです」
「壊したという事はその契約が破られたという事かな…そういえばお母さんは「累加家」の方だったね」
「お母さんを知ってるんですか?」
「いや、特殊な"個性"を持つ家系だからね。ちょっと有名なんだ。それに、資料に旧姓が書いてあったんだよ」
お母さんの旧姓は「累加」。何でも代々"付加"という"個性"が発現する一族らしい。
親の遺伝で受け継がれる個性に何かしらの効果が付加される。
お母さんは"契約"。因みに私は"治癒"だった。
「…じゃぁ、最後にそいつの"個性"は見なかった?プロヒーローが到着した時に部屋の中がとても冷えていたそうだ」
「……それは、多分、私です」
「え?」
「無意識の内に発動してしまっていて…しかも制御が効かなくて、それで意識を失いました…」
「失礼だとは思うが、君の資料もあってね、"個性"は雪を降らせることだったね?」
「はい…でも、いつもはちょっと寒くなるくらいで、あの時は威力が全然違ったんです…まるで吹雪を起こしてるみたいになって…でも、私すぐキャパオーバーするからそんなこと今までなかったんです」
「成る程…」
「そういえば、どうして私の処置ができたんでしょうか?私キャパオーバーすると、仮死状態になってしまうんですけど…」
「何だって?いや、そんな話は医師からは聞いていないよ。確かに体温は大分低くなっていたみたいだが、命に別状はないと言っていた」
「え?あれ?どうして…」
あんな威力の"個性"を使ったのにキャパオーバーしていない?
いや、でもじゃぁ何で気を失ったんだろうか。
「でも、それだと君の"個性"の検査をやり直したい方がいいな。…もしかして、お母さんの"契約"は君の"個性"の事だったりしない?」
「…え?でも、そんな事一言も…」
わからない事だらけで、取り敢えず私の"個性"を再検査するという結論が出てその日の事情聴取は終わった。
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