第2章 中学生編
紫沫SIDE
翌日、体調が安定していたという事もあり、早速"個性"の検査が行われた。
私の証言から、制御が出来ない可能性を考えてある人が立ち会う事に。
「初めまして。イレイザーヘッドだ」
「…初めまして。雪水紫沫です。よろしくお願いします」
"個性"検査用の部屋に通され、準備が整うといつでもどうぞと言われた。
発動に関しては自分の意思で出来るという確信があり、多少不安を抱えつつも難なく"雪"を振らせることに成功。
「…っやっぱり、制御、できないっ…」
しかしどんどん上がっていく威力は意思とは関係なく。
制御が出来ないのは勿論、止めることも出来ない。
今まで当たり前に"個性"を使ってきた筈なのに、全然思い通りにならなくて徐々に体温が下がり始めた。
けれど、今までのキャパオーバーのような感覚とはまた違う。
《雪水さん、制御出来そうですか?》
特殊なガラス越しにちらを見ている医師から指示が入る。
「で、きませ、ん…」
さっきからずっと必死に抑えてようとしてるけど、全くいう事を聞いてくれずそろそろ限界が近づいていると思ったその時。
嘘のように"個性"が止まった。
「…っあれ?」
《少し無理をさせてしまったね。こちらで強制的に止めさせてもらったよ》
「…いえ、ありがとうござい、ます…」
緊張の糸が切れたのか、結局私はそのまま意識を手放してしまった。
「……意識失うの、癖になってないかな」
目を覚ますと病室のベッドの上だった。
程なくして医師が訪れ、説明をしてくれた。
なんでも、威力が増す程に周りのモノの温度を奪っていたらしく、もしこれを人がいる場で使ってしまうと最悪凍死させてしまう可能性があると。
なんて恐ろしい"個性"になってしまったのか、自分でも驚くばかりだ。
因みに反動として私の体温も下がってはいたけど、やはり仮死状態になる程ではなかった。
「そういえば、もう一つ"個性"を持っていたね。そちらは使えそうかな?」
「多分…まだ試してはないですけど、人に害をなすような事は無いと思います」
「念の為そちらも検査しようか。また日を改めて」
「はい…」
検査をした結果、"治癒"に関しては少し効果があがった位で、特に問題ないとの事だった。
あの日を境に、私の生活がガラリと変わっていた事を知るのはもう少し先のお話。
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