• テキストサイズ

【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第2章 中学生編


no SIDE


紫沫が帰ってくる1時間前のこと。
父である雪水清司と母の雪水知晶はリビングにて紫沫のことを話していた。
知晶は手の中にある小振りな結晶を見ながら口を開いた。

「ねぇ、清司さん。あの子も4月から高校生になるんだし。そろそろこの事教えてあげてもいいと思うんだけれど」
「そうだな。"個性"の扱い方もある程度慣れてきただろうし、身体もそこそこには鍛えてきたからな」
「きっとこれがなくても、あの子ならちゃんと制御出来るわよね」

これは、紫沫の"個性"が発現した時のお話。
その日仕事が休みだった清司の隣では、紫沫がおもちゃで遊んでいた。
そんないつもの休日のこと、家の中にいるというのにいきなり雪が降り始めたのだ。
すぐ様紫沫の"個性"だと気付いた清司は知晶を呼ぼうとしたが、一気に辺りの景色が変わった事でそれをやめた。
自分と紫沫の周りだけというごく狭い範囲ではあるが、粉雪程度の物だったのが今では吹雪に変わっている。
どんどん増していく威力に反比例するように徐々に奪われていく体温に危機感を覚えた。
早くここを離れなくては。そう思った時には既に身体は麻痺し動かなくなっていた。
紫沫が泣いている。せめて我が子だけでもと、言う事を聞かない体を叱責し必死に腕を伸ばす。
もう少しと言うところで、意識を失い倒れていく紫沫を心配しながら清司自身の意識もそこで途切れていた。
それを見つけた知晶は直ぐに救急車を呼び、2人は事なきを得た。
しかし、幼い紫沫がまた同じ様に"個性"を発動してしまえば次はどうなるかわからない。
そこで、知晶の"個性"で紫沫の"個性"を制御の仕方を練習出来る様になるまでは抑える事にしたのだ。
それは、"結晶"に付加された"契約"と言う名の"個性"。
紫沫が制御出来ない程の威力になる前に、強制的に止めるという"契約"をした。強い力を止める代償として仮死状態になってしまうけれど。その証として結晶が紫沫の掌に現れる。
そして、結晶を壊す事によって"契約"が切れるというものだった。
そんな昔話をしている時、

「やぁ、やっと、見つけたよ」

見知らぬ声がベランダから聞こえてきたのは紫沫が帰ってくる15分前のことだった。


.
/ 456ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp