第2章 中学生編
紫沫SIDE
今は2年生最後の"個性"の授業中。
やっぱり轟君の"個性"はとても綺麗で、目を惹かれる。
使っているのは氷ばかりだけど。
(授業に紛れて、"治癒"したら迷惑かな…)
ふとそんな事が頭に浮かんだ。
轟君のいるところは少し遠いから、広範囲にしなきゃ届かない。
下手したらキャパオーバーを起こしかねない。
そんな事をすれば周りに迷惑をかける事はわかっているのに、一度考えてしまったらやらずにはいられなくなって。
半分無意識だった。
「何、このキラキラしたやつ。紫沫の"個性"?でも、なんだかいつもと違うし、こんなの初めて見る」
近くにいた幼馴染はすぐにそれに気付いて声を掛けてきた。
でも、私の意識は違うところにあって、その声は届いていなかった。
(後、もう少し…)
頭の中は"治癒"を発動をする事でいっぱいで、周りのことが全く見えていなかった。
(やっと、届いた…)
そう思った時。
やっぱり身体への負担が大きかったらしくて、一気に体温が低下していく感覚に襲われる。
(ああ、また華純に怒られるかな…)
それでも、これで、少しでもあの痣が消えてくれたら。
私の勝手な想いだけど。
ただの自己満足なのはわかっているから。
目を覚ましたらたくさん謝ろう。
「紫沫!紫沫!!」
そう思いながら私はゆっくりと意識を手放した。
最後に見たのは、やっぱりあの綺麗な氷結を出している大好きな紅白頭の彼だった。
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