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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第2章 中学生編


紫沫SIDE


「…は?何それ」
「だからね、昨日で最後だったんだって」
「いや、全く意味がわからない」
「私も意味がわかってるわけじゃないから、説明のしようがないかな…」
「確かに、その言葉の意味もわからないけど…何で紫沫はそんな平気そうなの?」
「あ、やっぱりそう見える?」
「見えるから、聞いてるんでしょ…」

今日もいつもの階段で幼馴染とお喋りをしている。
内容はもちろん昨日の放課後のこと。

「散々泣いたせいかな?起きたら何だかスッキリしてた」
「泣いたなら、何でその時に私を呼ばなかったの?紫沫の為ならいつだって駆けつけるのに…」
「華純…いやぁ、私はこんな素敵な友達がいてくれて本当に幸せ者だね」
「ふざけないで」
「ふざけてないよ。本当にそう思ってる」
「紫沫…」
「………本当はね、今でも苦しいんだ。なるべく見ないようにしても同じクラスだから嫌でも目に入るし。それに、轟君のことずっと見てきたから目が勝手に反応しちゃうんだよね」
「そんなの、当たり前だよ…」
「誰かを好きになって、しかもその人と両想いになれて…凄く幸せだった…轟君に、いっぱい、色んなモノを貰った…大好きだった……今でもこんなに好き…最後にくれたキスが凄く暖かくて、なんで私はあの時轟君から離れてしまったんだろうって、あんなに寂しそうな顔してたのに、何でっ、あの時伸ばした手をっ……止めてしまった…んだろってっ」

あれだけ散々泣いて、涙は出し尽くしてしまったと思っていたのに。
改めて口にすると、やっぱり胸は苦しくて、涙が溢れてしまった。

「…」

幼馴染は無言で私を抱き締めてくれた。
そう言えば、轟君も、私が泣いてしまった時抱き締めてくれた。
轟君の腕の中は優しくて暖かくて、とても安心出来た。
今の私は幼馴染の優しさに気付けない程、胸の苦しさでいっぱいだった。

「好きなだけ泣いていいから…」

〈泣くな、紫沫…〉

ああ、何でこんな時にまた轟君の言葉を思い出してしまっているんだろう。
幼馴染とは逆の言葉なのに。

(そうか…轟君は私の涙を止めようとしてくれてたんだよね。)

好きなだけ泣かせてくれる優しさは凄く嬉しい。
でも、本当に欲しいのは、この涙を止めてくれる優しさだった。




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