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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第2章 中学生編


紫沫SIDE


あれからどうやって家に帰ったのかがわからない。
ずっと頭の中に靄がかかっていて、ボーッとしている。
何も考えられなくて、何も考えたくなくて。
涙は出ない。
だって、何も感じないから。
悲しくない。寂しくない。嬉しくない。楽しくない。
何もない。

(無くなってしまった)

酷い虚無感に何もする気が起きなくて、仰向けでベッドに寝転がった。
その時、カシャンと音がきこえてそちらを振り向けば、首から下げていたネックレスのチャームが目に入った。
クリスマスプレゼントにもらった雪の結晶のチャーム。
私の"個性"みたいだからと言ってた。
私がなかなかつけられずにいたら、代わりにつけてくれた。

「やっぱり似合うな」

耳元で囁かれた声が聞こえた気がして。

「っと、どろき、くん…っ」

涙が溢れた。
今は思い出したくなかったのに。
一度思い出すともうとめられなくて。
何でこんなことになってしまったのか。
昨日はあんなに幸せだったのに。
轟君の事を思い出すほどに涙が溢れて止まらない。
胸が張り裂けそうな程苦しい。
いっそのこと、本当に張り裂けてしまえばいいのに。
何もかもが溢れて止まらなくて。
疲れて眠りに落ちるまで、涙が止まることはなかった。
















「……私どうしたんだっけ」

目を覚ました時にいつの間に寝たのかわからなくて、頭が酷くボーッとしている。
時計を見るとまだ日の出前の時間。
そうか、泣き疲れて寝たのか。
なんだか変に気分がスッキリしている気がする。
あの苦しさはもうない。
自分が制服のままなことに気付き学校に行かなくてはと、取り敢えずシャワーを浴びることにして。
案の定目が腫れていて、"個性"でなんとかして誤魔化した。

「そういえば、轟君にもらった服鞄に入れたままだ」

シワになるといけないと思い、出してハンガーにかけて。
やっぱりそれをもらえた事は嬉しくて、何だか近くに轟君がいる気がした。
少し眺めてから、そろそろ学校に行く準備を始めようと動き出し。
今日はちゃんと朝ご飯もたべて、ゆっくりしてから家を出た。
1月下旬の朝はとても寒くて流石の私もコートにマフラーはかかせない。
いつもより少し早くについた教室で、幼馴染が来るのを待った。
話したいことが沢山あるのだ。



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