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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第2章 中学生編


紫沫SIDE


あれから数日後。
気がつくと私は紅白頭の彼のことを目で追いかけていた。
すぐにクラスが違うことはわかり、あの日以降彼を見かけることはあまりなかったけれど、それでも休み時間や他クラスがグラウンドで授業の時などに無意識のうちに彼の姿を探してしまっている。
ただ見ているだけなので彼の名前すらもわからないまま月日は流れて、中間考査が行われる時期になっていた。
今時珍しい学年順位が掲示板に張り出されるらしい。

「ねぇねぇ、今回の中間考査1位の子誰だか知ってる?」
「轟焦凍って人でしょ?凄いよねほぼ満点とってた」
「そう、その轟君なんだけどね。なんと!あの時の紅白頭君みたいだよ!!」
「……えっ!?」

思わず大声を出してしまったが為にクラス中の視線を集め、恥ずかしい思いをする羽目になった。
慌てて小声にし、何故華純はそんなことを知っているのかと問いただすと。

「そりゃぁ、あんなイケメン君なんだから噂にもなるよ。しかも体育と"個性"の授業では頭ひとつ飛び抜けた才能の持ち主で、今回のテストで頭脳明晰なこともわかった。その上、なんと!あの、NO.2ヒーローエンデヴァーの息子って言うんだから、これはもう女子は放っておかないでしょ!」

可能な限り目で追っていた彼の"個性"が凄いことは遠目でもわかる。
しかし、そんなハイスペックな人とは思わず驚きを通り越して絶句した。
これをきっかけに彼の名前は瞬く間に学年内で知れ渡ることとなったのだ。
目で追いかけている内に密かに芽生え始めている気持ちがある事を自覚し始めていた矢先の出来事。
なんだか一気に別世界の人のように感じて、この気持ちを抱く事すらダメなんじゃないかと思えてしまう。

「一気にライバル増えちゃったねー」
「は!?え!?いや、違うからね!?」
「いやいや、誤魔化そうとしても無駄だよ?あんたがあの日からずっと紅白頭君のこと目で追いかけてるの気づいてるんだから。だからこうして情報集めて教えてあげてるんでしょ?」

あの日のようにニヤニヤしながらこちらを見てくる幼馴染を心底怖いと思った。
あれ以来その話題には一切触れてこなかったのに!

「〜〜っだからって、私には関係ないよ…」

そう、この気持ちは密かに抱いているだけで、遠くから見ているだけで充分なのだから…





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