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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第2章 中学生編


紫沫SIDE


次の日。
見事に目が腫れていた。
自分の"個性"を使って冷まして、腫れが治ったのを確認してリビングへと向かう。
時間に余裕はあったけど、朝ごはんも食べずに家を出た。

(なんで、学校ではあんまり近づかないようにしようなんて言っちゃったんだろ…)

あの時の自分を恨んだ。
学校では轟君の傍に行けない。
手が届く距離いるはずなのに、手を伸ばす事ができない。

(私が言い出した事だから、私から近づいたらダメだよね…)

本当に、あの時の自分はなんて面倒な事をしてくれたのか…
そんなことを考えながら教室へと入ると、まだ轟君は来ていなかった。
いつもなら来ていてもおかしくない時間なのに…
それが私の不安をより一層掻き立てる。

「紫沫、おはよー!」
「あ、華純、おはよ」
「…なんかあった?」
「え?」

こういう時の幼馴染の嗅覚は本当に凄いと思う。

「私が気付かないとでも思った?」
「あはは、流石華純さん」
「まぁ、何が原因かなんて大方予想はついてるけど…でも昨日一緒にいたんでしょう?」
「あぁ、まぁ、そうなんだけど…」

その時、轟君の姿が目に入った。
ぱっと見はいつもと変わらない。
でも、明らかにいつもと雰囲気が違う。

「轟君…」
「え、何あれ。喧嘩でもしたの?」

断じて違う。
寧ろ、喧嘩の方がまだ良かったんじゃないかとすら思った。

「違うよ…」
「もうすぐチャイム鳴るし、またお昼にでも話聞かせてね」

そう言って、幼馴染は自分の席へと帰っていった。
程なくしてチャイムがなり、轟君のことが気になりつつも、私は彼から視線を外した。




「で、話聞きましょうか?」

お昼休み。
人通りの少ない屋上近くの階段で、早速幼馴染の尋問が始まった。
いつもなら幼馴染に隠し事なんてできないんだけど、今回ばかりは勝手が違う。

「ごめん…何でもない」
「…今更何で隠そうとすんの?私に隠し事できないの知ってるでしょ?」
「うん、だから何かあったことを隠すつもりはないよ。でも、今回のことは何も言えない」
「…どうしても?」
「ごめん…」
「まあ、何でもかんでも話せって訳じゃないし、隠したいことの一つや二つあってもおかしくないけど…でも、無理だけはしないでよ?辛くなったらすぐ言うこと!」
「っうん!」

ああ、私は本当に友達に恵まれた。


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