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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第2章 中学生編


轟SIDE


まさかあんなタイミングでクソ親父と出くわすとは思わなかった。
もう、雪水を家に連れてくるのはやめようと思った。
元々その危険性を軽視していた自分の責任だ。
開口一番のあれは決して雪水のことを見ていたわけじゃない。
俺に対する当てつけだ。
そういうヤツだ、アイツは。

「雪水に悪いことしたな…気に、してるだろうな…」

普段から赤の他人の事でも気にするような彼女が今日の出来事を何とも思わないわけがない。
だから、アイツとは絶対会わせたくなかったってのに…

「くそっ」

感情のままに電信柱を殴った。
殴った方の手がジンジンとして熱いけど、そんなのは気にならない。
自分の犯した過ちが許せなくて、行き場のない感情が俺を支配する。

「…邪魔だ」

家に着いて玄関の扉を開けた途端、今一番見たくないヤツの姿があった。

「あんな小娘に現を抜かしている場合か。来年は受験もある。
お前にそんな事をしている暇があるのか」
「…」
「焦凍。おまえはこんな所でもたついている暇などないんだぞ。あんな小娘など捨て置け」
「…関係ねぇだろ」
「ふん…雪水紫沫だったか…」
「っ雪水には関わるな!」
「今のおまえに何が必要か。よく考えろ」
「…」

そう言い残し、クソ親父は何処かへ行った。
母の泣いてる姿が脳裏をよぎる。

(また…俺のせいで、苦しめるのか…?)

左手を、爪が食い込み血が出る程握りしめていた。

(俺はどうしたらいい…もうこれ以上誰も犠牲になんてするわけにはいかねぇんだ…)

自室へと戻ると俺はその場に頭を抱えて座り込んだ。
大切な人をこれ以上苦しめたくなかった。
アイツを完全否定する事で母を救うんだ。
なら、雪水は?
これから苦しめる可能性があるなら、離れるべきだ。
そうする事でしか守る術が見つからない。
こんな俺に手を差し伸べてくれた。
醜い俺のことを好きだと言ってくれた。
母と同じ位大切なんだ。
もしかしたら母以上に…
それなら、今すぐにでも離れるべきだ。
今ならまだ間に合う。
わかってる。
答えは出ている。








それでも…




























本当は…








(離れたくねぇ…離したくねぇんだ…)



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