第2章 中学生編
紫沫SIDE
「どうしよう…」
「え?もしかしてまだ決まってないの?!」
「はい…」
轟君の誕生日が明日だというのに、プレゼントは決まらないままである。
「もういっそ、本人に聞いてみたら?」
「なんか、違う気がする…それに、きっと特にないって言われそう…」
「あー確かに。欲しいものとかなさそうだよね」
「どうしよう…」
振り出しに戻る。
色々候補は考えるものの、どれもパッとしなくて決め手に欠けていた。
「…轟君に直接聞いてみようかな」
「さっきそれは違うって言ってたよね?」
もう、自暴自棄だ。
「あ、自分自身とか?ほら、よくあるじゃん」
「私なんかあげてどうすんの!?」
「意外と喜んでくれるかもよ?」
「既に私は轟君のものだもん…」
「…ご馳走さまです」
「ごめん、ちょっと今のは本気にしないで。頭の中変だった」
でも、このままだと本当に用意できずに終わってしまう。
今日の放課後も轟君と一緒だから買いに行くタイミングがない。
あれ?これはもしや、もう手遅れ?
「手作りのお菓子とか嫌かなぁ…」
「あ、それいいんじゃない?」
「でも、手作りの物って男子は嫌がるって書いてた…」
「それ何情報?一方的に好意を寄せてる場合ならそうかもだけど、好きな子の手作りなら嬉しいと思うけどなあ」
「え、本当?」
「多分そうだと思うよ?」
これはもしや、なんとかなるかも。
手作りお菓子なら今夜作ればいいし、明日に間に合う。
「お母さんに相談してみよう…」
「因みに、紅白頭君は好きなお菓子とかあるの?」
「ケーキは普通って言ってた…好きな食べ物はそばのあったかくないやつ」
「何そのちょっと可愛い言い方」
「轟君がそう言ってたんだよ」
「もしかしなくても、ちょっと天然入ってる?」
「私も最近ちょっとそれ思い始めてる」
たまに突拍子も無いことを言う事がある。
本人は至って本気みたいなんだけど。
「はー一体あのイケメンはいくつ属性持ってんのよ…」
「なんか2次元キャラみたいな言い方やめて…」
「もう殆ど似たようなもんでしょ」
「ちゃんと3次元の人だから!」
いかん、折角決まりかけてたのに脱線してしまった。
そうだ、お菓子。何作ろう。
「甘いのあんまり得意じゃなさそうなんだよねぇ」
「甘く無いお菓子かぁ…抹茶系とか?」
「成る程。和風好きそう」
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