第13章 原作編《新学期》
紫沫SIDE
いつ相澤先生の叱責が飛んできてもおかしくない状況の中。
「まァ、何が何やらって顔してるよね。必修てわけでもない。郊外活動(インターン)の説明に突如現れた3年生だ。そりゃわけもないよね」
ここにきて漸く、この散らかった場を纏めてくれそうな気配を感じた。
「1年から仮免取得…だよね。フム。今年の1年生ってすごく…元気があるよね…そうだねェ…何やらスベリ倒してしまったようだし…」
「ミリオ!?」
「君たちまとめて俺と戦ってみようよ!!」
「「「ええ~~!?」」」
「俺たちの"経験"をその身で経験した方が合理的でしょう!?どうでしょうね、イレイザーヘッド!」
「……好きにしな」
まさかの提案に驚くクラスとは裏腹に、その意図を理解しているらしい先生の出したGOサインに寄って、急遽教室の外へ出ることになった。
体操服に着替えて、行くように指示されたのは体育館γ。
言われるまま皆と一緒に向かっているけど…
(先輩と戦うって…仮免落ちた私は参加していいのかな?)
因みに仮免補講組の一人である爆豪君はこの場にいない。
謹慎になったのは自己責任ではあるけど、仮免補講組もインターンについて知るべきなら爆豪君が復帰してからこの場を設けている筈。
(そうじゃないってことは…)
男子よりも一足遅れて体育館に足を踏み入れると、皆から一歩引いたところにいる焦凍君の姿が目に入った。
教室でのことが少し気になっているのもあって、女の子達の輪から少し足を外したとこへと向きを変える。
「まさか、こんな事になるなんて。自由が校風の雄英らしいというかなんというか…」
「…そうだな。だが、ヒーロー科のトップの実力がどれ程のもんかは興味がある」
敢えて波動先輩の質問のことには触れず声をかけてみたら、既に意識はこれから始まる先輩との実戦に向いている様子で。
本人が気にかけていないのならと、わざわざ蒸し返すことはしなかった。
「でも、いくら先輩とは言え1人でうちのクラス全員を相手にするのは無茶な気がするけど…」
「あぁ。一体どんな戦闘になるのか」
焦凍君と話をしながらも互いの視線は先輩と相対するクラスの皆に向いていて。
早速と言った感じで戦闘を始めようとする先輩に応え、1番に手を上げたのは謹慎明けで息巻いていた緑谷君だった。
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