第2章 中学生編
紫沫SIDE
「雪水はどうしてぇんだ?」
「え、私?」
「俺はどっちでも構わねぇから、雪水のしたいようにすりゃいい」
これはきっと、突き放してるとか冷たいとかそういうんじゃない。
轟君の優しさなんだ。
「うん…やっぱり轟君とこうやってお喋りしたい。けど、もしそれで、学校の中で嫌な思いとかする人がいたら嫌だから…えと…」
上手く答えを導き出せない自分が心底嫌になる。
「なら、学校で喋れねぇ分こうやってここにきて喋りゃいい。ここじゃなくても、何処でもいいが。学校以外でもそんなとこ探せばいくらでもあるだろ」
轟君は何でこんなにもあっさり私の求めてる答えを導き出してくれるんだろうか。
言葉で言い表せられない気持ちで胸がいっぱいになる。
苦しくて、切なくて、嬉しくて、暖かい。
「うん、そうだね…」
「あんまり難しく考えねぇ方がいいぞ」
「そう、なのかな」
「ああ」
「ありがとう、轟君」
気が付けば辺りは暗くなってきていた。
秋が訪れて陽がどんどん短くなっていく。
「そろそろ行くか」
「うん」
「…雪水」
そう声をかけられ、轟君の方を向くとまた不意打ちでキスされた。
これで2度目だ。
「不意打ち…ずるい…」
また頬が火照っていくのを感じる。
「悪ぃ。また赤くなってるな」
そんなこと言うから余計に恥ずかしくてなって顔を俯かせた。
「雪水、好きだ」
本当に轟君はずるい。
そんなこと言われたら私だって…
「私も、轟君のこと、好き」
「…何だこれ。雪水のこと帰したくねぇ…」
それは流石にマズイ。
門限があるわけではないけれど、暗くなる前には家に帰らないと両親が心配する。
「また、明日学校で会えるよ?」
「…そうだな。行くか」
「うん」
今日一日落ち込んでいた気分がまるで嘘のように今は胸の中が暖かい。
轟君には救われてばかりだな。
「轟君、また明日ね」
「ああ。またな」
そう言って私は家の中へ。
轟君は家路へと着いた。
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