第2章 中学生編
紫沫SIDE
「…俺には言えねぇ事か?」
「ううん、そう言うんじゃないんだけど…」
なんと切り出していいかがわからず私はなかなか言い出せずにいた。
「雪水の家の近くに公園ってあるか?」
「え、あるけど?」
「連れてってくれ」
「いいけど…」
「歩きながらだと頭の中纏まんねぇだろ」
なんで、轟君はこんなにも優しいんだろうか。
その優しさが今は少し苦しいけど、でも、だからこそ私はこの事を轟君に話そうと思えて。
公園に着いた私達はベンチに並んで座った。
「…えっとね、上手く言えるわかんないんだけど」
「別に構わねぇ」
「うん…轟君ってさ、学校で人気者って知ってる?」
「…は?」
あ、この間抜けな顔前にもみた事ある。
なんだかおかしくて、少しだけ私の気持ちが和らいだ気がした。
「えとね、轟君って、かっこいいし、運動できて勉強もできて、"個性"も凄くて、それに凄く優しくて、"個性"綺麗だし」
「ちょっと待ってくれ…俺は今何の話を聞かされてるんだ?」
轟君の魅力を伝えようとしたら夢中になって止まらなくなってしまっていた。
「兎に角ね!学校に轟君のことをそう思ってる人達が沢山いて、だから、私達が、付き合ってるのがわかっちゃうと、あんまり良くないと言うか…」
ああ、やっぱり上手く話せない。
なんて言えば伝わるんだろう。
「…付き合ってるのを隠してぇってことか?」
「結果的に言うと、そう言うことになるのかな…」
これは私の言いたい事が伝わってるから出てきた答えじゃない気がするけど、でも結論としては合っている。
「俺は別にどっちでもいいが、わざわざ言いふらすとかしなけりゃわかんねぇだろ」
「それがね、朝の会話を見てた幼馴染が側から見てるだけでそれがわかるって…」
「それは、その幼馴染は知ってるからなんじゃねぇか?」
「え、そうなのかな?なんかね、空気が違うって言われた」
「よくわかんねぇな」
「うん…私も何が言いたいのかわからなくなってきた…」
話が一向に進んでいる気がしないまま時間だけがどんどん過ぎていく。
.