第13章 原作編《新学期》
紫沫SIDE
体育祭には不参加でも職場体験はエンデヴァーの元で行った。
但しそれは指名ではなく制御の出来なかった"個性"が理由での逆指名みたいなもので、インターンのコネクションと呼ぶには少し不安が残る。
かと言って他の事務所にコネクションがあるのかと聞かれれば答えはノー。
お父さんが個人でしていた事務所は勿論もう無いし、他に宛ても無い私にとっては中々にハードルの高い条件かもしれない。
と言っても、それより先に仮免補講の3ヶ月間を乗り越えなくてはいけないんだけど。
「元々は各事務所が募集する形だったのが、雄英生徒引き入れの為にイザコザが多発してこうなったんだそうだ」
「どちらにしても、本格的な活動をするには仮免は必須だよね」
「あぁ。仮免の有無もあるが、1年のインターン参加は今の所保留になってる」
「え?そうなの?」
「1年の参加を慎重に考えてのことらしい。仮免を取得した奴はより本格的・長期的に活動へ加担できるが、1年生の仮免取得はあまり例がない上に敵の活性化も相まってな」
「そういう事か…」
「体験談なんかも含めたちゃんとした説明と方針は後日、改めて話してくれるとのことだ」
「仮免受かった緑谷君の謹慎が今日までだし、近々かな?」
「かもしれねぇな」
インターン活動に参加はできなくても、体験談の話にはとても興味がある。
相澤先生の体験を聞かせてもらえるのかなと私が声をかけるよりも先に、新たな話題が持ち上がった。
「紫沫は謹慎、どうだったんだ?」
「謹慎…?」
焦凍君に問い掛けられれば、それに答える方が優先された私の思考はこの2日間の出来事を思い返し始める。
けれどこれと言って特筆すべきことは思い浮かばず、普段と違うことを敢えてあげるとするならばそれはたった一つ。
「やらなきゃいけないのは朝晩の掃除と反省文位で殆ど部屋で過ごしてたけど…緑谷君と爆豪君といつもより一緒に居たから少し仲良くなった気がするよ!」
「仲良く?」
「うん!緑谷君は焦凍君といる事多いしたまに話したりしてたけど、改めて2人で話すタイミングって中々なかったんだよね。それから爆豪君は今まであんまり接してこなかったから、こんな事でもないと話すキッカケなんてなかったと思う。色々話してみたら意外と怖くないんだって漸く普通に話せるようになったって感じかなァ」
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