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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第13章 原作編《新学期》


紫沫SIDE


昨日と同じく夕食を女子棟で済ませ、謹慎明けまでに提出と言われた反省文を持って相澤先生を訪ねる。
以後気をつける様にと最後にもう一度釘を刺されてから共有スペースに戻ると、女子棟のテレビに男女関係なく数人が集まっていた。
1-Aは男子の比率が多いからか、寮内ではどちらかと言えば男子棟に人が集まりやすい為少し珍しい。
男子棟には誰もいないのかなと向けた目に映ったのは浴場から肩にタオルをかけ歩いてくる焦凍君の姿。
視線が合い、自然と向いた足が進むにつれ、髪が水気を帯びていることに気付いた。

「焦凍君。髪の毛、まだ湿ってるよ?」
「おぉ、問題ねぇ。すぐ乾く」

折角のサラサラでクセのない髪型が自然乾燥では変なクセがついてしまうんじゃないかと、無意識に焦凍君の髪の毛へと手を伸ばしていた。
控え目に指を絡めた湿気を含んだ髪は独特の触り心地がして、専ら触れる事のない男子の髪は想像するよりも柔らかな感触がした。

「風邪引くよ?」
「鍛えてるから大丈夫だ」
「そういう問題じゃぁ…」
「…乾かすやつ、持ってねぇ」
「え!?」

まさかドライヤーがないとは思わなくて、いつもタオルドライだったのかと聞けば上鳴君のを借りたりしていたらしい。
今日はたまたまタイミングが合わずにそのまま出て来たと。
そう言えばテレビを見ているメンバーの中に上鳴君の姿があった。

「私ので良かったら使う?」
「いいのか?」
「うん。部屋にあるから持ってくるね」

一旦部屋に戻り、ドライヤーを手に取って焦凍君の待つ男子棟のソファに向かう途中、女子棟でテレビを見る皆の姿が再び視界に入った。

「お待たせ」
「おぉ」
「ドライヤーなんだけど…あっちでテレビ見てて、ここだと煩くて邪魔になるから何処か離れた場所で使った方がいいかも」
「なら部屋で乾かすか」
「返すのはいつでも大丈夫だよ」

部屋に戻る焦凍君を見送るつもりでいると何故か不思議そうな表情を浮かべていた。

「紫沫は来ねぇのか?」
「え?…行っていいのかな?」
「駄目なのか?」

厳密に駄目と言われた訳ではないけど、今日までは謹慎中だからあまり他の部屋にお邪魔するのは良くない気がする。
断ろうとして口を開きかけたのとほぼ同じタイミングで、ソファに座る焦凍君の手が対面して立つ私の手を掴んだ。

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