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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第12章 原作編《デクvsかっちゃん》


紫沫SIDE


腰をやや深めにソファに沈める爆豪君の隣に、邪魔にならない程度の間を開けて腰を下ろした。
そういえばここで、昨日の夜は焦凍君に話を聞いてもらったなと。
仮免試験で忙しない1日を過ごしたせいか随分前のことのように感じる。
2日続けて相手は違うけど、似たようなシチュエーションになっている事になんの偶然かと少し不思議な感覚を覚えながら。
昨日とはまた違う緊張感の中。
帰り際に見た顔からまだそれについて心の中に巣食ってるものがある気がして、話を切り出した。

「あのね、オールマイトの…引退のことなんだけど……」

前置きに爆豪君の反応はなく、視線はソファに腰を下ろした時から変わらず下に向けられたまま。
もしかしたら今私がこうしてることは、以前焦凍君に対して何も出来ないまま離れてしまったことへの罪滅ぼしに近いのかもしれない。
けど、あんな悲痛な叫びを聞いた後でまた見てるだけなんて。
過去に悔やんだことをまた繰り返すのは嫌だった。

「敵に攫われたのは爆豪君だけじゃなくて、私も…神野区にも私はいた。もし敵に攫われたことが原因でオールマイトが引退したっていうなら…私にも、原因はあるってこと。だよね?」

あの場に唯一いた自分だからこそ、同じ立場にいた者だからこそ言えることがあるんじゃないかって。
そう思ったこともあって、尚更放っておく事は出来なかった。

「でもね、正直私は爆豪君みたいにオールマイトの引退についてあれが原因になってるかもって考てなかった。自分のことばっかりだった」

今の私に出来るのは何なのか。
同じ立場にいても、違う角度で心を痛めて未だにそこから抜け出せずにいる隣の存在にかけられる言葉は何か。

「私だってあの場にいたのに、爆豪君だけに責任押し付けてるみたいだよね」
「……何言ってんだてめェ」
「そう思わない?」
「…思わねぇな」
「どうして?」

こんなやり方で合ってるのかわからない。
もしかしたらもっと良い…それこそ焦凍君にキッカケとなる一言を鼓舞した緑谷君みたいに言えたら良かったのに。
でも私にそんな言葉は思いつかなくて…

「俺が弱ェから、あんな事になっちまった。てめェは関係ねぇわ」
「…それってさ、その考えってさ、オールマイトと一緒だと私は思うよ」
「あ?」

手探りの末に探し当てたのは揚げ足取りみたいなやり方だった。


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