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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第12章 原作編《デクvsかっちゃん》


紫沫SIDE


顔を背け目を逸らす爆豪君に対してオールマイトは声を掛け続け歩み寄った。

「気付いてやれなくてごめん」
「……今…更………何でデクだ。ヘドロん時からだろ…?何でこいつだった」
「非力で…誰よりヒーローだった。君は強い男だと思った。既に土俵に立つ君じゃなく、彼を土俵に立たせるべきだと判断した」
「俺だって弱ェよ…あんたみてえな強い奴になろうって、思ってきたのに!弱ェから…!!あんたをそんな姿に!!」

きっとこの時の爆豪君の自分に対する評価はいつになく気弱で、心も少なからず弱っていたんだと、そう見えた。
けどその弱さは裏を返せば同じだけの強さがあるからだと思えた。
本来は凄く強い人だからこそ見えた弱さなんだって。
表裏一体の面を持ち合わせて今回それを自覚した爆豪君はきっとこれからもっと凄い人になるんじゃないかって。
凄く魅力的な人なんじゃないかって胸を打たれた気がした。

「これは君のせいじゃない。どのみち限界は近かった…こうなる事は決まっていたよ。君は強い。ただね、その強さに私がかまけた…抱え込ませてしまった。すまない。君も少年なのに」

言われたことに反応したのか、成すがままになるのが嫌だったのか。
後頭部に添えられたオールマイトの手に引き寄せられて、無抵抗で胸に顔を埋めていた爆豪君だけど、少ししてその手を弾いて身を引き剥がした。
そんな態度はお構いなしにオールマイトは言葉を続ける。

「長いことヒーローをやってきて思うんだよ。爆豪少年のように勝利に拘るのも、緑谷少年のように困ってる人間を救けたいと思うのも。どっちが欠けていてもヒーローとして自分の正義を貫くことは出来ないと」

これは今の二人についてだけじゃなくて、ヒーローを目指す人達皆に言える気がして。
その中の一人である私も当て嵌まる事だから。
それを体現しようとする二人だから、気になったのかもしれない。

「緑谷少年が爆豪少年の力に憧れたように、爆豪少年が緑谷少年の心を畏れたように…気持ちをさらけ出した今ならもう…わかってるんじゃないかな。互いに認め合い、まっとうに高め合うことができれば。救けて勝つ。勝って救ける。最高のヒーローになれるんだ」

同じ言葉だけど違う意味を持って、同じところを目指すけど違う「憧れ」を持つ。
正に爆豪君と緑谷君そのものを言い得ている言葉だ。

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