第2章 中学生編
紫沫SIDE
タイミングが良いのか悪いのか、チャイムが鳴った為、幼馴染は自分の席へと戻ってしまった。
(バレるって…どうして?)
席が隣の時もさっきみたいに普通にお喋りしてた。
その時は特に何もなかったのに。
確かに轟君は人気者だし、隠れファンクラブ的なものがあるのを聞いたことがある。
誰か特定の人が出来たと知れたらあまり良い気はしないかも知れない。
でも、お喋りしてるだけでそれってバレるもの?
幼馴染の言葉が気になって仕方がなかった。
(後で、また聞いてみよう…)
そして、お昼休み。
いつものように幼馴染と共に昼食を食べていた。
「ねぇ、朝のことなんだけど…」
あれからその事が気になり、私は轟君に話しかける事が出来ずにいた。
「ああ、うん。お昼に聞かれると思ってた。でも、ここだと誰が聞いてるかわからないから、お昼食べたら移動しない?」
「うん、いいけど…」
そんなにこそこそ話さなくてはいけない事なのだろうか…
でも、それ以上は話してくれなさそうなので先ず昼食を食べ終えて、私達は人通りの少ない屋上近くの階段に座っていた。
「で、今朝のことなんだけどね」
「うん」
「2人の空気が違うって言ったでしょ?」
「うん」
「ただの友達同士ならあんな空気にならない。側から見てもわかるくらいお互いのことが好きですって空気が漂ってたの」
「…は!?」
「ちょ、声大きい!」
「あ、ごめん…」
まさかこんな恥ずかしいことを言われるとは思っても見なかった。
何その空気って…普通に挨拶してただけなのに…
「今朝はまだ生徒もそんなにいなかったし、見てる人少ないと思うけど、あのままの状態を続けたらバレるのなんて時間の問題だと思う。別にバレる事は悪い事じゃないと思うんだけど、相手があの轟君っていうのがマズイ」
「やっぱり轟君のこと好きな子沢山いるよね?」
「まぁ、大概はミーハーな子ばっかりだとは思うけど、中にはそうじゃない子がいてもおかしくはないかな」
「自分の好きな人が誰かと付き合ってるなんて知ったらショックだよね…」
私がそうなってた可能性だって大いにあるわけだし…
「それで落ち込むだけならそれは別に構わない。そうじゃなくて、それを逆恨みするような子が現れたら危ないってこと!」
「え?逆恨み?」
徐々に話の内容がわからなくなってきた。
.