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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第11章 原作編《仮免試験》


紫沫SIDE


「私もね、特別講習受けるんだ」
「そうなんスか!?」
「うん。だからこれから顔合わせる事も多くなると思うし、良かったら改めてよろしくお願いします」
「あんたとは仲良くしたいと思ってたっス!ヨロシク!!」

豪快に差し出されたのは私の倍はありそうなゴツゴツとした手で、私の良く知るそれとはまるで違う。
握手を求められているのだと、応じるべく差し出した手は丸ごと掴まれて。
少なからず身体を鍛えているのだから決してか弱くなんてない筈なのに、ギュッと握られた力加減の強さに少しだけ眉間を歪めそうになった。

「雪水さんの手って小さいっスね!可愛いっス!!」
「え?」

こんなにも体格差があるのだからそれは当たり前の感想だけど。
最後の一言は従来であれば褒め言葉として用いられる形容で、どう受け取れば正解なのかがわからない。

「特別講習で会えるの楽しみっスね!!」
「そ、そうですね!」

その意見には素直に賛同出来た。
けれど相変わらず解放されない力強い握手にそろそろ手が悲鳴を上げそうで。
同じ異性でも私の良く知る手は夜嵐さんに比べると少し小さいけど、包み込まれるには充分な大きさで、優しく心地の良い温もりは一度繋がれると離れがたくなって…
想いを馳せる程に胸の内には恋しさが募り、連想ゲームみたいに思い描いたのは最後に触れた時の出来事。
確かあれは救助演習前で手の甲に口付けをされて…繋がれていた手を咄嗟に引っ込めてしまった。
士傑高校が姿を現して有耶無耶になっていたけど、焦凍君に不快な思いをさせてしまったのではないだろうか。
自分の意思だけでは中々手を離すキッカケを掴めずにいたけど、気持ちが焦凍君に向くや否やこの場から離れる為に口を開こうとしたその時。

「紫沫、そろそろバスに乗らねぇと」

夜嵐さんの溌剌とした大きな声に比べて少し控えめで小さいけど、私の耳には誰のものよりも良く響く透き通った声が聞こえた。

「私、もう行かないといけないのでこの辺で…」
「うっス!」
「それじゃぁ、また」
「お疲れっしたぁあ!!」

力強い握手は思いの外するりと解けて、別れの挨拶もそこそこに夜嵐さんを背にしてその場を駆け出す。
そうして声のしてきた方へと一直線に焦凍君のいる場所を目指した。

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