• テキストサイズ

【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第2章 中学生編


紫沫SIDE


「雪水?大丈夫か?」
「あっ、うん…なんか幼馴染先に帰っちゃったみたい」
「そうか…遅くなっちまったな。家まで送る」
「え?いや、遠回りになるから、いいよ?」
「もう少し一緒にいてぇんだ。駄目か?」
「…なら、お願いシマス」

どうしよう…
私の知らない轟君がいる。

「行くぞ?」
「あ!うん!」

既に教室を出ていた轟君の元へと駆け寄り、隣を歩いた。
家に送ってもらうのはあの時以来だ。
でも、あの時とは何もかもが違う。
あれからたった数ヶ月というべきかもう数ヶ月というべきか。
轟君とこんな風になるなんて思ってもみなかった。
チラリと隣を盗み見ると相変わらず無表情なのに。
何だか前よりもカッコよく見えるのは私が浮かれているだけなのかな。

「…どうした?」

盗み見ていたつもりが、しっかり見ていたらしくて。
こちらの視線に気付かれてしまった。

「あの時の事思い出してただけ」
「あの時…?」
「うん、私が倒れて轟君が助けてくれた時」
「ああ、あれか」
「あの時は私が一方的に轟君のこと見てて、凄く緊張してたなって思って」

そうだ、あの時は声をかけるのも必死で、隣を歩くことなんてできなかった。

「そうなのか?緊張とかあんましねぇからわからねぇな」
「流石轟君…私は緊張ばっかりだよ…」
「今も緊張してんのか?」
「ううん。今はもう緊張してないかな」

そうして、久しぶりに他愛もない会話をしながら、家まで送ってもらった。

「また、明日だな」
「うん、また明日」

別れの挨拶をして家の中に入ろうとした時だった。

「雪水」

名前を呼ばれたから振り向いたら、腕を引っ張られて不意打ちに唇を奪われた。
いきなりのことに私は呆然とする事しか出来なくて。

「明日は遅刻すんなよ」

そう言って轟君は何事もなかったように帰っていく。
不意打ちにキスされたのだと気付いたのは彼の背中が見えなくなってからだった。



.
/ 456ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp