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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第11章 原作編《仮免試験》


紫沫SIDE


咄嗟に引っこめた手は拒絶したかの様に見えたかもしれない。
すぐに焦凍君の様子を伺ったけどその視線は既にこちらには向けられておらず、試験前にも遭遇した士傑高校の面々に移っていて。
同様に視線を向けると、一番手前にいた毛むくじゃらの人が話しかけてきていた。

「爆豪くんよ」
「あ?」
「肉倉…糸目の男が君のとこに来なかった?」
「ああ…ノした」
「やはり…!色々無礼を働いたと思う。気を悪くしたろう。あれは自分の価値基準を押しつける節があってね。何かと有名な君を見て暴走してしまった。雄英とは良い関係を築き上げていきたい。すまなかったね」

一次で爆豪君達が相見えたのが士傑生だったのだろうか。
その特徴に当てはまる人が辺りにはいないのと返答から、きっと脱落してしまったのだろう。
その人に代わってわざわざ訪ねて来てくれる姿を横目に、峰田君と緑谷君は何か思い当たることがある様子で少し顔を歪めながら疑心の声を上げていた。

「良い関係…?」
「良い関係…とてもそんな感じではなかった…」

2人の言葉は呟きとしてその場に影響する事なく、士傑の人は要件を伝え終えると。

「それでは」

別れの挨拶をして背を向けた去り際。
隣にいたはずの焦凍君が追いかけるようにして一歩前に出た。

「おい、坊主の奴。俺なんかしたか?」
「…ほホゥ」

そして掛けた声は夜嵐さんに対してで。
振り返ったその顔は到底「良い関係」を築きたいと思ってる人には見えない鋭い目付きをしていた。

「いやァ、申し訳ないっスけど…エンデヴァーの息子さん」
「!?」
「俺はあんたらが嫌いだ。あの時よりいくらか雰囲気変わったみたいスけど。あんたの目はエンデヴァーと同じっス」

聞き捨てならない名前とその呼び方に胸が騒ついて。
ないと見当していた面識があったかもと仄めく台詞は耳を通り過ぎ、夜嵐さんの事情は知る由もなく。

「夜嵐どうした」
「何でもないっス!!」

焦凍君に向けられた負の感情を黙っては見過ごせなくて。

「待って下さい。そんな風に焦凍君を呼ばないでくれませんか…?ちゃんと名前で呼んでください。それにその言い方…まるでエンデヴァーの息子だから焦凍君を嫌ってる様にも聞こえます。彼とエンデヴァーは同じじゃありません…!」

大柄な人に対する苦手意識は吹き飛んでいた。

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