第11章 原作編《仮免試験》
紫沫SIDE
予想通りと言うべきか。
それからすぐに残り枠の半分近い通過者のアナウンスが流れた。
≪ハイ、えーここで一気に8名通過来ました——残席は10名です≫
「A組は…」
「あと9人…これ…全員はもうムリかなぁ…」
「8人って誰だったんだろ?」
「今入ってきた奴らじゃねぇか?ほら、あそこ」
「あっ、傑物学園の人達だ…」
残念ながら8名と言うのは全て他校の人達だったようで、雄英生の姿はそこになかった。
再びスクリーンを見上げたその時、開始直後に分断された場所の近くでキラキラとしたレーザーのような一筋の光線が空に伸びていることに気付いた。
遠くからでも目立つあの"個性"は青山君だと、根拠のない自信があって。
クラスの皆はそこにいるような気がして、食い入るようにスクリーンを見つめていた。
≪2名通過!!残りは8名!!≫
そうして流れてきたアナウンスはラストスパートを知らせる実況中継さながらで。
≪7名!5名!続々と!この最終盤で一丸となった雄英が!コンボを決めて通っていく!≫
合間に出てきた学校名にさっきのはクラスの誰かだったんだとわかり、カウントダウンしていく残り枠もきっと皆の事なんだと思わずにはいられなかった。
≪そして…0名!100人!!今埋まり!!終了!です!ッハーー!!これより残念ながら脱落してしまった皆さんの撤収に移ります≫
ここに通過者が現れるまではまだわからない。
けど私だけじゃなくここにいるクラスの皆、最後の勢いが誰だったかの予想がついてるみたいで。
入り口の扉が開かれるのを今か今かと待ちわびているところに、遂にやってきた見慣れたコスチュームの9人の姿が目に入った途端。
「おォオオ〜〜…」
「っしゃああああ!!」
「スゲェ!!こんなんスゲェよ!」
「雄英全員。一次通っちゃったあ!!!」
歓喜の声が一斉に上がった。
最後の最後で掴んだ結果と、その緊張感から解き放たれた反動もあってかその喜びようはとても大きくて。
既に通過が決まっていたメンバーは自分の時よりもテンションが上がっている。
取り敢えずお疲れ様と、飲み物や食べ物に手をつけつつ束の間の休息に身を置けると思った直後。
新たな試練を知らせるアナウンスが流れてきたのだった。
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