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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第11章 原作編《仮免試験》


紫沫SIDE


「あちこちやられたみてぇだな」
「そういえば…すっかり忘れてた」
「"治癒"、は無理か」
「そうなんだよね。自分の傷は治癒出来ない」

この事を焦凍君に話したのはいつだったか…
"治癒"が発現してから幾度が試みたけど、自己治癒力を高めることが出来なかったのだ。
「血はもう止まってるから大丈夫」と言えば「ダメだ」と有無を言わさない雰囲気で返されて、控え室に着いたら先ず医務室に行くようにと言われた。
「ANTEROOM」と矢印の書かれた看板の指す方へ進んでいくと、間もなく控え室に到着して。
共に足を踏み入れれば、中央には食事や飲み物が置かれたテーブルがいくつかと、壁に沿うようにして椅子が並べられていた。

「けっこういんな」
「私で55人目だったからね」

既に通過した人達は食事をしたり交流したりと思い思いに過ごしている中で、一際大きな話し声が耳に届いた。

「マジっすか!?自分もタンプマン好きッスよ!!彼は熱いヒーローっス!!」

他校でありながら、雄英の校訓を誰よりも大声で叫んでいた夜嵐さんだ。
相変わらずの声量に目を引かれ、医務室に行くつもりがすっかり頭から抜けてしまい焦凍君の後について椅子に腰掛けながら話を振っていた。

「夜嵐さんて、焦凍君と同じ雄英の推薦受けてたんだよね」
「らしいな。推薦なら入試ん時に会ってるハズだが…」

色々と存在感のある人だけど口調からして見覚えはなさそう。
仮に忘れていたとして、向こうは焦凍君の事を覚えてるのかなと。
当時の焦凍君と距離を置いていた私は少しだけその時の様子が気になっていた。

「でもやっぱり…!」

夜嵐さんの声が中途半端な途切れ方をすると、こちらを睨むようにして見た気がして。
けど、それは瞬間的に外されて何事もなかったかのように目の前にいる通過者と会話を続けている。

「……?」
「今、焦凍君のこと見た?よね?」
「俺もそんな気はしたが…」

少し強引だけど、側から見ればフレンドリーな感じのする人だから見知った顔の人と目を合わせたら話しかけてきそうなのに。
やっぱり推薦では顔を合わせる事はなかったのかもしれない。
そんな事を考えていたから私の視線は夜嵐さんに向いたままだった。

「そんなに、あいつが気になるか?」
「え?」
「ずっとあいつばかり見てる」


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