第11章 原作編《仮免試験》
紫沫SIDE
「最大威力!震伝動地」
大きな揺れを感じると同時に、この辺り一帯の地面が割れて足場を崩されるという大きな一撃が私達を襲った。
「必殺技なら当然こちらも編んでるよ」
「むちゃくちゃするなァ——!!」
「ぐっ!!」
「デクくん!」
「お茶子ちゃん!?」
割れる地面に巻き込まれないよう何とか身をこなして。
揺れが収まり、平坦じゃなくなった地面の上でも立っていられるようになった頃。
辺りを見渡してみるけど近くにいた筈のお茶子ちゃんと緑谷君はおろか、誰一人として姿が見当たらなかった。
試験開始間も無く、1-Aはバラバラにされてしまったのだ。
「…皆、大丈夫だよね」
早目に誰かと合流したいと思った私の思考が、ほぼ反射的に思い浮かべたのは…
試験開始直前に輪から抜けて行った人物。
「確か、焦凍君の向かった先は…こっち…」
散り散りにされた今となっては誰を探すにしても同じだと。
皆何処にいるのかわからないのであれば、少しでも手掛かりのあるところに向かう方が懸命だと。
一度は駆け出しそびれた足を今度こそはと踏み出した。
《あ、ようやく一人目通過が…うぉ!?脱落者120名!!一人で120人脱落させて通過した!!えーさてちょっとびっくりして目が覚めて参りました。ここからドンドン来そうです!》
駆け出してすぐに、通過者情報を知らせるアナウンスが聞こえてきた。
こんな事出来る人は限られた数しかいない筈。
仮に焦凍君だったらそれはそれで良い事だけど。
こんなすぐに動き出すのは焦凍君らしくないと思えた。
何処かに隠れて様子を伺っているんじゃないかって。
それを踏まえた上で、改めて足を進めている時だった。
「見ーつけた!」
「1人でなんて。余裕の表れか、もしくはただの考えなしなのか」
「別にどっちでもいいじゃん。こっちにとっては都合のいい状況なんだし!」
「そうね。体育祭の一次予選すら通過出来ない子が1人。私達の敵じゃないわ。ねぇ、雄英高校ヒーロー科の雪水さん?」
突如目の前に現れた2人組。
何処かで見たような…
「ちょっと聞きたいんだけど。轟くんとはどういう関係?私達と話してる最中だったのに、貴女のこと追いかけて姿消しちゃったんだよね」
それを聞いて、既視感の正体がわかった。
説明会場に向かう途中、焦凍君に話しかけていた女の人達だ。
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