第11章 原作編《仮免試験》
紫沫SIDE
"雪"を集中させればそれが壁となり、ボールの勢いが相殺されて私の身体に届くことなく地面へと落ちる。
周りの皆もそれぞれが"個性"で全てのボールを回避。
圧縮訓練の成果が発揮されていた。
「締まって行こう!!」
そう叫んだのは緑谷君。
さっきのは腕慣らしのようなもので、すぐに次の攻撃を仕掛けてきそうだ。
「ほぼ弾くかァ——」
「こんなものでは雄英の人はやられないな」
「けどまァ…見えてきた」
どんな"個性"かはわからないけれど、硬化された様に見えるボールがこちらへと投げられたかと思えば。
それは地中の中へと潜っていき行方をくらました。
「ボールが地中に!!」
「皆下がって!ウチやる!」
ボールを迎え撃つと一歩前に出たのは耳郎さん。
「音響増幅(アンプリファー)ジャック」
耳のイヤホンを新アイテムらしき両手の甲にある小型スピーカーへ接続すると、それを地面に突き当て。
「ハートビートファズ!」
音の振動を流し込むことで、地面を抉ってみせたのだ。
それにより地中の中に潜っていたボールは地上へと弾き出されるも、勢いはそのままに峰田君を狙いと定め迫り向かっている。
「オイラに来てるう!!」
「粘土、溶解度MAX!アシッドベール!」
「助かった!イイ技だな!」
「ドロッドロにして壁を張る防御ワザだよ——」
動揺する峰田君に対し芦戸さんの新技が華麗にボール攻撃を防いだ。
「隙が生じた。深淵闇躯(ブラックアンク)!」
その一瞬を見逃すことなく常闇君も新技を他校へと向け放つ。
次から次へと繰り出される新技に、相手はこちらの様子を伺っているのか無闇にボールが飛んでくることはなくなっていた。
「体育祭で見てたA組じゃないや。成長の幅が大きいんだね」
≪えー現在まだどこも膠着状態…通過0人です…あ、情報が入り次第、私がこちらの放送席から逐一アナウンスさせられます≫
突如聞こえてきたのは、あの覇気のない声で。
アナウンスにより通過者情報が知らされるみたいだ。
今はまだ0人らしいけど、戦況はここからーー…加速する。
「よォし。離れろ!彼らの防御は固そうだ。割る!!」
真堂さんが地面に両手をついた姿が目に入った。
どんな"個性"を使ってくるのかと身構えたのとほぼ同じタイミングでそれは起きた。
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