第11章 原作編《仮免試験》
紫沫SIDE
「緑谷、時間ねえよ!行こう!!」
《4》
峰田君の呼びかけの直後、カウントダウンが始まった。
あっという間に人だかりの中へと姿を消した焦凍君を追いかけたい気持ちがありながらも、どんな戦闘になるのかわからなくて、今1人になって複数に奇襲をかけられでもしたらと考えるとその場から動くことができない。
「単独で動くのは良くないと思うんだけど…」
「何で?」
「だってホラ…!僕らもう、手の内バレてるんだ」
《3》
その言葉にすぐにあの背中を追いかけなかったことを後悔した。
手の内がバレていない私なら、向こうは警戒して無闇に襲われることはなかったかもしれない。
そして焦凍君はバレている上に独りなのだから、恰好の餌食として狙われる可能性が高い。
焦凍君を決して弱いと思ってるわけじゃないけど、多対一となれば不利になってもおかしくない。
だったら私一人でも向かうべきだったと思うけど、それはもう後の祭りで。
「さっき僕が言った勝ち筋は、他校も同様なワケで…学校単位での対抗戦になると思うんだ。そしたら次は当然どこの学校を狙おうかって話になる」
《2》
緑谷君の言葉により一層追いかけたい気持ちが高まった。
狙うなら先ず、勝ち目のある学校に決まっている。
他校に比べて情報量の多い学校。
体育祭というイベントで"個性"はおろか弱点・スタイルまで割れたトップ校。
「ターゲットになるのは雄英…」
《1》
気付いたところでカウントダウンは終わりを告げ。
《START!!》
号令と共に目前に現れた大勢の受験生。
こうなってしまっては焦凍君を気にしてばかりはいられなくて。
先ずは己の身を守れなくては追いかけることもできない。
「"自らも破壊する超パワー"」
受験生の中には会場の前で見た顔もあって。
あの黒髪は確か…真堂さん。
「まァ…杭が出ればそりゃ打つさ!!」」
無数のボールがこちら目掛けて投げ出され襲いかかってきている。
全てを避けることは出来そうにない。
今はここを打破することが最優先だと、気持ちを切り替えて。
「簡単には、打たれません…!」
圧縮訓練で何度も練習した新技を発動させた。
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