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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第11章 原作編《仮免試験》


紫沫SIDE


「君は、体育祭でトップ2だった轟くん。だね」

遮られた手はあっさりと引き下がって、その目は手を遮った焦凍君へと向けられていた。
そこへ、新たな声が掛けられる。

「ねぇ轟くん、サインちょうだい。体育祭、かっこよかったんだあ」
「やめなよ。ミーハーだなァ」

それは傑物学園の人で、女の子。
雄英に来てからクラスの女の子達はこういった態度をあまり取らないから忘れていた。
中学の時なんて隠れファンクラブがあった程なのに。
焦凍君はモテるんだということを。

「はあ…」
「オイラのサインもあげますよ」

そして焦凍君はその自覚がない。
峰田君が背後から声をかけていたけど傑物学園の人の視線は焦凍君に向いたままだ。

「それから握手、してほしいなあ」

きっとプロヒーローになったらこんな事は日常茶飯事で、ファンサービスが仕事の内の一つなのは知ってる。

(でも…それでも…今はまだ…)
「おい、コスチュームに着替えてから説明会だぞ。時間を無駄にするな」
「はい!!」

相澤先生とそれに応える声が聞こえて、ハッとした。
傑物学園の人はMs.ジョークに呼ばれたのか既にその場から居なくなっていて。
さっきの光景から目を背けたかったのか私の視線は地面に向いていたらしい。

「下向いて、どうした?」
「ううん。何でもない。早くしないと相澤先生に怒られそうだから行こう?」

会場に向かう為に、繋いだ手を放そうとしたのに。

「そうだな」

絡められた指は簡単に解けなくて。

「行くぞ」

先に歩みを進めようとした筈が、焦凍君の方が先に歩き出していて。
繋がれたままの手に引かれる形で私の足は動き出した。

「あの、手…」
「同じところに行くんだ。別に放す必要ねぇだろ」
「そうだけど…」

流石にこのまま歩いては周りにバレてしまうよ。
さっき繋いだ時は周りに見えないからって。

「紫沫は嫌なのか?」

そんな風に聞かれたら…

「嫌じゃ、ない…」
「なら、このままだ」

たまに焦凍君は少しだけ強引な時がある。
何か理由があるんだろうけど、私にはいつもわからなくて。
結局着替えの為に分かれるまでずっと繋いだままだった。


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