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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第10章 原作編《入寮〜圧縮訓練》


紫沫SIDE


圧縮訓練と体力強化の日々はあっという間に過ぎて、いよいよ仮免許資格試験を明日に控えて。
いつもは賑やかな夜の共有スペースも今日は早々に静まり返っていた。
私は今朝見た夢の事が頭から離れず気になりすぐには寝れそうになくて。
ホットミルクでも飲めば眠気に誘われるかもと共有スペースに残りソファに腰掛けていたら、焦凍君に声を掛けられた。

「どうかした?」
「姉さんからメッセージだ。明日の仮免応援してるって」
「冬美さんからわざわざ私に?嬉しいっ。あの時連絡先交換しとけば良かったなぁ」
「知りたいなら教えるぞ?」
「いいの!?あ、でも一応冬美さんに確認してみて?」
「おお」

その場でメッセージを送ってくれて、すぐに返事がくるだろうと焦凍君は隣に座って少し待ってみることになり。
とても面倒見の良さそうなお姉さんだったなと思い起こせば、それに連なりある人が再び脳裏によぎる。
夢の中にいた、懐かしいあの人が。

「何か気になることでもあるのか?」
「え?」
「今日一日、様子がおかしかった。調子でてなかっただろ」
「どうして…?」
「紫沫の事はずっと見てるからな。ちょっとした変化でも気になっちまう」

小さな変化に気付く程見られていた事には驚いたけど、気にかけてくれた事は素直に嬉しくて。
今私の中にあるモヤモヤとした気持ちを吐き出してしまいたくなっていた。
夢に見た懐かしい記憶に、今日一日それに付随する出来事を思い返して眠れずにいた事を。

「……焦凍君…少し、私の話を聞いてくれる?」
「ああ」

今から話そうとする事はこれまで誰にも話したことがない。
というより、話す機会のない事だった。
それがたまたまこのタイミングで焦凍君に声をかけられて。
気にしたままで明日に影響するのは良くないし、誰かに話せば少しでも気持ちが楽になるかもなんて。
それはただの言い訳で、焦凍君だから聞いて欲しいと思ったのかもしれないけど。
初めて打ち明ける過去に少し緊張が走ってすぐには言葉が出てこなくて、たっぷり間を空けてから。

「……私にもね、お姉ちゃん…みたいな人がいたんだ」
「みたいな人?」
「うん。歳上の従姉妹なんだけど。お姉ちゃんみたいに思ってた人がいて……ううん、今もきっといる筈」

ゆっくりと幼い姿のままになっている面影を辿った。

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