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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第10章 原作編《入寮〜圧縮訓練》


紫沫SIDE


怖くて怖くてたまらない。
どうしてこんなことに……

「紫沫、大丈夫だからね。絶対ヒーローが救けにきてくれるから」
「う、うん…ひっく…」
「ほら、もう泣き止んで」
「オイ、そいつはこっちだ!」
「なっ…イヤだ!」
「ぅ、うわぁあああん!!」
「チッ、ウルセェ餓鬼だな…」
「放してっ!!」
「こいつ…!暴れんじゃねえ!大人しく言うこと聞けっての!」
「ゔっ…」
「お姉ちゃん!!紫晶お姉ちゃぁああん!」











やっと、来てくれた。
来てくれるって信じてた。
だから、早く。
連れていかれてしまった。
早く、救けて。

「お前ら観念しろ!プロヒーローだ!!」
「くそっ!何故ここがバレた!?」
「捕まってたまるかよ!そんなガキ放っとけ!どうせまだ使いモノにならねえんだ!一人いれば充分だろ!」
「待て!逃がさんぞ!!」
「追え!絶対に逃がすな!!」
「お、とうさん…」
「もう、大丈夫だ。救けにきたよ、紫沫」
「紫晶、おねえ、ちゃん、が…た、すけ…」

私はもう大丈夫だから。
早く、紫晶お姉ちゃんを……






















幼過ぎて曖昧になってる過去の記憶の中。
微かに覚えている光景。
最近では思い出すこともなくなっていた。
覚えていないことの方が多いから。
記憶と言えるほど確かなものじゃないかもしれない。
それでも、奥深くの何処かでその経験が残っていたのか。
この時の夢を見たのは初めてで。
全てがぼんやりとしていた。
一体どこに行ってしまったんだろう。
私だけが救けられてしまった。
一緒にいたのに。
私だけが…














「…きっと、何処かにいるよね……」







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